NMB48がミュージカルに初挑戦！ 吉本新喜劇とガッツリ組んで挑む『ぐれいてすと な 笑まん』は、ブロードウェイミュージカルの演出も手掛ける玉野和紀が上演台本・演出・振付を務める爆笑必至の本気のミュージカル。川畑泰史が手がけた台本は、“ドタバタ”や“アイドル”要素も余すところなく盛り込まれ、吉本新喜劇とNMB48の両者の魅力もしっかりと引き出してくれています。
大阪公演はCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで5月14日（土）から22日（日）の期間で上演。そして東京公演は明治座で5月26日（木）から29日（日）までの期間で上演されます。
本番が近づく中、ミュージカル初挑戦となる川上千尋（NMB48）が、ミュージカル俳優として活躍中の平野綾をゲストに迎えて特別対談を東京・明治座で行いました。今回はその対談の後編をお届け。最後は川上が平野を質問攻めに。
明治座は環境が整っている優しい劇場
――川上さんの初ミュージカル作品「ぐれいてすと な 笑まん」は、玉野さんが演出、そして吉本新喜劇とのコラボという、いろんな要素が盛り込まれた作品になりました。
平野 ホント、いろんな要素があって確かに難易度が高いかも。
川上 お芝居が初めてのメンバーも多いので、お芝居やミュージカルに関しての基本的なことも覚えないといけないですし、新喜劇的なお芝居もあるので、覚えることも多くて。
平野 吉本新喜劇の方々って、テンポとか緩急の付け方が素晴らしいですよね。たぶん今回の作品でも、いきなり色が変わったり、いきなり風景が変わる！みたいな場面の転換もたくさんあると思うんですけど、ショーとして“ここから見せるんだよ”っていうキッカケになりやすいんじゃないかなって。玉野さんはコメディが大好きな方なので、色々な引き出しを持ってらっしゃいますし、その中のひとつとして台詞のテンポや動きでパッと切り替わるということをやってみてもいいかも。
川上 私、転換した後で次のきっかけとなるセリフを言うことが多いので、参考にしてみます。
――そして、演出家の玉野さん。平野さんは2021年のミュージカルコンサート「NEW YEAR’s Dream」で玉野さんとご一緒されてるんですよね。
平野 はい。一昨年の夏から翌年の年始まで玉野さん演出の現場が続いて。お洒落でいつもみんなを笑わせてくれる、すごく優しい方です。
川上 玉野さんが「綾ちゃんに振り入れした時、“うわぁ！”みたいな振りがあったんだけど、『何それ？』みたいなことを言われた」って言ってましたよ。
平野 あ、覚えてたんだ（笑）。
川上 でも、それが可愛かったって（笑）。
平野 勢いで“玉ちゃん！”って呼んでも、「何〜？」って返事してくれる、めっちゃ優しいです。
川上 ノリがいいんですね。
――その「NEW YEAR’s Dream」がここ、明治座だったんですよね。
平野 はい。明治座さんはすごく歌いやすいんです。舞台に立った時、音の返りも良くて、歌っていて気持ちいいんです。会場によって音環境は様々ですが、明治座さんは環境が整っている優しい劇場だと思います。
川上 稽古の時、自分の声が聴こえづらいとやりにくさを感じたりするので、そういう環境って大事ですね。
平野 自分の声が聴こえないとついつい大声を出してしまって喉を痛めたりするし。稽古中は大きな声を出すことに慣れさせておく必要はあるけど、壊すまでやることはないからね。
川上 はい。でも、明治座さんのような会場はあんまり経験がないので、いつもと雰囲気も違っていて緊張しそうです（笑）。しかも、ミュージカルはソロで歌うことも多いので、プレッシャーもありますし。
平野 でも、ホールとかアリーナとか、もっと大きな会場での経験もあるんだから、最初は緊張するかもしれないけど、順応性も高いと思うので、自信を持ってね！
川上千尋が看護師役に挑戦！
――ちなみに、今回の川上さんの役どころは？
川上 役名は“川上千尋”なんですけど、設定は看護師です。
平野 ナース服？
川上 はい（笑）。
平野 いいねぇ。面白そう。
川上 またちょっと相談なんですけど、「もっと大げさに」ってよく言われるんです。真面目にやりつつ大げさにするというのが難しくて。
平野 “看護師”という役があるということなので、その役をすごく強調してあげるといいかも。看護師さんって、病院の中でテキパキと動いているイメージがあるので、スタッスタッと歩いたり、何か物を取る時もサッと動いたり、そういうテキパキ感を強調すると、真面目にやっていることが面白さにつながったりすると思う。
川上 そういうところも含めて、玉野さんから「テキパキ動いて」って言われてたのかも。でもなんかイメージできました。勉強になります！
――川上さんは以前から舞台や演技に興味があったんですよね？
川上 はい、玉野さんに「演技がしたいんです」って言ったら、「演技がしたいの？ じゃあ、まだまだダメだね」って（笑）。
平野 口ではそう言うけど、玉野さんは優しいから大丈夫（笑）。
川上 今回、「ダメだね」って言われたところを改善していけたらなって思っています。次につながるような、別の作品とかにも呼ばれるようになりたいなって。
平野 いいねぇ。そういう気持ち、めちゃくちゃ大事！
――本番も近づいてきてるということで、必需品とか、何か持っていった方が物ってありますか？
平野 みんな、アップする時のグッズは鬼のように持ってたりしますね（笑）。特にダンサーの方とかは。私はやり過ぎると疲れちゃうのであまりアップはやらないんですけど。あ、玉野さんはボールを使ってた。
川上 野球のボールとかですか？
平野 そう。ちょっと柔らかめのボールで、お尻の下に置いてツボを刺激したり。玉野さんからいただいたんですけど、旅公演にも持って行きやすいよ！
川上 ボールぐらいの大きさだったら持ち運ぶのもいいですね。私もボール持って行きます（笑）。
平野 あとは、私、常にアメを舐めてるかも。
川上 やっぱり喉のためにも必要ですよね。
平野 何種類か持っていて、用途によって使い分けてます。でもダメージを回復させるのに一番良いのは、よく寝てよく食べることだから。舞台は長期で体力勝負なので、生活のリズムを作ると良いですよ。
川上 はい！
演出家と演者の意見の食い違いを一致させるには？
――具体的なアドバイスもたくさん聞けましたが、せっかくの機会なので、他にも平野さんに教えてもらいたいことがあれば。
川上 いいですか？
平野 もちろん！
川上 お芝居の表現で、自分の中ではこういうふうにやりたいというのがあるんですけど、それをやった時に「ちょっと違う」って言われたりするんです。玉野さんが言ってるキャラにもなりたいけど、自分が思ってるキャラにもなりたくて。その意見の食い違いみたいなのを一致させるには話し合いしかないんですか？
平野 私の場合でいい？ 私の場合、演出家に見せる時、“こういうプランです”っていう自分でイメージしてきたものをまず見せてみる。それで「違う」って言われたら、演出家がいった通りのことを取り敢えずやってみる。実際にやってみないと、演出家が言おうとしてることもわからないし、やってみた上で、“さらにこういうアイデアもあるんですけど、やってみてもいいですか？”っていう話し合いができるんじゃないかな。相手が要求することをちゃんとやって理解して、自分の納得のいく役作りをしていくとやりやすくなると思うな。
川上 自分がやりたいことだけを見せるんじゃなくて、要求されてることも一回ちゃんと見せるといいんですね。
平野 うん。自分が考えたプランって、もちろん自分らしさが出ていて良い時もあるけど、それが限界になっちゃうから。演出家は誰よりも客観的に見てくれるから、演出家を信じて。アイデアがあればあるほど、稽古場で試せるので、そういうふうに提示してみることはすごく大事だと思います。
川上 はい、そういうふうにやってみます。
平野 私が玉野さんと一緒にやった作品では、毎回変えてたの。そうしたら「やりすぎ」って言われちゃった（笑）。
川上 でも、それぐらい私もいろいろ案を出せるぐらい役について考えてみたいと思います。
――もう一つぐらい質問する時間がありますよ。
川上 じゃあ、もう一つ！ 「言葉に抑揚がない」って言われてて。NMB48のメンバーのほとんどが言われてるんですけど、「驚いて！」って言われて、そのように表現するんですけど、まだまだ足りないみたいで、その強弱の付け方みたいなのを教えてください。
平野 驚いた時、息が止まる時があるよね。
川上 はい。
平野 なので、驚く時に「えぇ！」って普通に驚くんじゃなくて、その前に一回息を止めてから「えぇ！」って驚いてみるとメリハリがついていいと思う。
川上 全然違いますね！
平野 思っていた以上のテンションが出るはず（笑）。これ、使えると思うよ。お芝居で“驚く”場面はよく出てくるので、自分の中でパターンをいくつか持っておくといいかも。
川上 普通に喋る時でもあんまり強弱がなくて、「息の使い方！」ってよく言われるんです。“感情ないんか”っていうくらい、自分でも“棒読みになってるなぁ”って思う時があるので、わかってるんですけど、実際にやろうとしたら難しいっていう。
平野 普段喋っている時の音域の幅って大体決まってるというか、そんなに広くはないと思うの。でも、ビックリしたり、悲しんだりする時って、その枠を超えているはずだから、そういう声のトーンとかを意識して心を動かすと違って見えるんじゃないかな。あとはスピード。感情に合わせて喋る速さを変えるだけでも同じセリフが違う印象に聞こえるから。そういうメリハリの付け方も有効的だと思う。
川上 ずっと稽古してきて、わかりそうでわからなかったことが今わかってスッキリしました（笑）。
平野 次の稽古で実践してみて！ 玉野さんに「いいじゃん！」って言ってもらえるといいね。
川上 今日教えてもらったこと、すぐにでも役に立つ頃ばかりです。独り占めしたい気持ちもありますけど、教わったことは他のメンバーにも伝えます（笑）。
平野 あとは、お稽古も本番も楽しんでもらいたいな。
川上 はい、頑張ります！ ありがとうございました！
取材・文＝田中隆信
インタビュー前編はこちら
公演概要
吉本新喜劇×NMB48 ミュージカル『ぐれいてすと な 笑まん』
大阪公演
＜会場＞
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホ―ル
（大阪市中央区大阪城3番6号）
＜日程＞
5月14日(土) 17:00開演
5月15日(日) ①12:00開演／②17:00開演
5月16日(月) ①13:00開演／②18:00開演
5月17日(火)・18(水) 休演日
5月19日(木) 13:00開演
5月20日(金) 18:00開演
5月21日(土) ①12:00開演／②17:00開演
5月22日(日) 12:00開演
東京公演
＜会場＞
明治座
（東京都中央区日本橋浜町2丁目31番1号）
＜日程＞
5月26日(木) ①13:00開演／②18:00開演
5月27日(金) ①13:00開演／②18:00開演
5月28日(土) ①12:00開演／②17:00開演
5月29日(日) 12:00開演
＜出演＞
■吉本新喜劇
川畑泰史
すっちー、末成映薫、西川忠志、島田珠代、烏川耕一、吉田裕、今別府直之、諸見里大介、松浦真也、森田まりこ
■NMB48
安部若菜、石田優美、加藤夕夏、川上千尋、小嶋花梨、貞野遥香、塩月希依音、渋谷凪咲、上西怜、新澤菜央、原かれん、平山真衣、本郷柚巴、山本望叶
＜料金＞
●大阪公演(全席指定・税込)
前売券(全席共通)：8,800円
●東京公演(全席指定・税込)
前売券：S席(1階･2階席)9,800円 A席(3階席) 4,800円
配信チケット：3,000円
※5月29日（日）公演で生配信を実施。詳細は決定次第発表いたします。
＜主催・企画・制作＞吉本興業/明治座
＜チケット＞FANYチケットにて発売中
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