いまをときめく芸人たち……周囲から一目置かれる存在になった彼らにも、かつて「こんなふうになりたい！」という憧れの存在があったはず。そんな売れっ子たちに、芸人を志したきっかけや憧れた芸人、そして芸人になるまでの道のりなどを語ってもらうインタビューシリーズ『あなたは誰に憧れ芸人に？』。今回は、バカバカしくもリアルな演技についひきこまれて笑ってしまうコントを演じる2人、うるとらブギーズ（佐々木崇博、八木崇）の登場です。
高校時代は彼女と「テリーとドリー」のマネ
――うるとらブギーズのおふたりが子どものころ、最初に好きになったお笑いは？
佐々木 小学校のときにはダウンタウンさんの『ごっつええ感じ』（フジテレビ系）が始まっていたので、それでお笑いが好きになりました。中学時代はラブレターズの塚本（直毅）と同級生だったんですけど、塚本とだけお笑いの話をしていました。テレビの話とか、ナインティナインさんの『オールナイトニッポン』の話とか。
八木 僕も『ごっつええ感じ』と、『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば！』（フジテレビ系）。『笑う犬』シリーズ（同）も夢中で見ていて、マネしてました。
――マネを？
八木 『笑う犬』の「テリーとドリー」を、高校のころに彼女とやってました。
佐々木 誰に見せるでもなく？
八木 そう。
佐々木 めっちゃいい彼女じゃん。
――いい交際ですね（笑）。その流れで、NSC（吉本総合芸能学院）を目指す時点で2人ともコントをやろうと？
佐々木 そうですね。中学高校は『爆笑オンエアバトル』（NHK総合）とかを見て、バナナマンさんがすごく好きになって。そのまま、コントをやろうと思ってNSCに入りました。
八木 僕もそうです。テレビで見てたスタジオコント＝お笑いだと思ってNSCに入ったので、そこで初めて漫才というものを知ったくらいで。
佐々木 ちょうどM-1が始まって数年くらいだったので、僕は「漫才もカッコいいんだな」という感覚はありましたけど、等身大の自分で人を笑かすってなんか恥ずかしくて、自信がなくて。だからといって、別にコントができると思っていたわけじゃなかったですけど、内気というか、学生時代からおしゃべりなほうではなかったので、おのずとコントをやろうとしたのかなと思います。
仲良くなるために2人でディズニーランドに！？
――おふたりは、それぞれにコンビやトリオを経て、うるとらブギーズを組んだそうですが、NSC時代は同期として友だち付き合いがあったんですか？
佐々木 NSCのときはまったくしゃべってなかったよね。
八木 僕が前組んでいた相方が佐々木と仲よくて、そのつながりで１、２回、佐々木の家に遊びに行ったことがあるくらい。
佐々木 家に来ても、黙って下向いてる印象でした。会話をした記憶はないです。
――それが、コンビを組むようになったきっかけは？
佐々木 僕が先にコンビを解散して、1人でライブに出ていた時期があったんですよ。八木のトリオも解散することになって、最初は八木じゃなくてその仲がいいヤツに声をかけて、お試しで自主ライブに出てみたんです。でもちょっとうまくいかなくて、次に八木に声をかけました。
――そこでうまくハマった？
佐々木 パッとネタをやってみたときの感じがよかったんですよね。
八木 僕、トリオのもうひとつ前にコンビを組んでいたんですけど、そのコンビはめちゃくちゃ仲が悪くて。ネタ合わせも終始ぎくしゃくしていたから、コンビは仲いいのがいいなって思ってたんですよ。佐々木はほぼ何も言わないし、すごく優しくて、ぜんぶ受け入れてくれるから、「これは続くな」と。
佐々木 そのコンビのときの相方がすごい我が強いタイプで、独裁政権だったんです。僕もそれを見てたんで。
――佐々木さんは「自分はこうはならない」と？
佐々木 ま、もともと我が強いほうではなかったのもありましたし。
八木 だから、組んだ当初は佐々木のこと「タカフィー」と呼んでたし。
佐々木 組むまでまったくしゃべったことなかったのに（笑）。
八木 仲良くなろうとして、ディズニーランドとかも行きましたし。
佐々木 買い物とかも一緒にいったしね。
憧れのジャルジャル目指してコンビ結成
――おふたりがコンビを組んだとき、「ジャルジャルのネタが理想」と意気投合したそうですね？
八木 はい、そうです。
佐々木 憧れでした。といっても、ジャルジャルさんは２年先輩なだけなんですよ。僕らが芸歴２〜３年目のときに、おふたりがテレビにガーッと出られるようになって、「すごい面白いな」と尊敬するようになって。ちょうどコンビを組むときに、そういう話をしたんです。だから、NSCに入ったころは、まだジャルジャルさんのことは知りませんでした。
――ジャルジャルのどのあたりがいいなと思ったんですか？
佐々木 バカバカしいのに、なんかセンスを感じさせるところがいいなと。かっちりと決めずにノリで進んでいく雰囲気にも憧れました。
八木 僕もそうですね。あとはNSCに入ったころから僕、しつこい系の笑いが好きで。ジャルジャルさんも、ひとつのボケで引っ張るネタがあったりして、当時、ヨシモトファンダンゴTV（吉本系列が運営していたお笑い専門チャンネル。2008年3月放送終了）でジャルジャルさんの映像を見ては腹を抱えて笑ってました。こういうネタをやりたいな、とお手本にするようになりました。
――２年先輩であれば、会う機会もあるのでは？
佐々木 ジャルジャルさんは大阪にいらして、僕らは東京だったので。なかなかお会いする機会がなくて。僕らの活動も最初のころは月に数本ライブに出る程度でしたし。だから、本社でたまに見かけて「ジャルジャルさんだ、すごい華あるな」と思っていました。「テレビに出る人ってきれいだな」と。
――では、話したりすることもなく。
佐々木 そこからしばらくして、単独ライブを2人で見学に行くようにはなりましたけど。
八木 2013年の『ABCお笑いグランプリ』で準決勝に進出して、大阪に行かせてもらったんです。そのとき、初めてジャルジャルさんと同じ舞台に立って、うれしくて。そしたら、その年にジャルジャルさんが漫才でグランプリ（ABCお笑いグランプリ）をとったんですよ。「漫才もすごいんかい」と思いましたね。
「平場に弱い」から「弱すぎて強い」？
――うるとらブギーズは今年３月まで東京・よしもと∞ホール所属で、後輩と接する機会が多かったと思いますが、どんな様子でしたか？
八木 最近まで同期とライブに出ることがほとんどなくて、やさしいズとかサンシャインとか、６年後輩といっしょに切磋琢磨して。
佐々木 ななまがりや男性ブランコとかと一緒にコントライブをやったりね。
――2人とも先輩ぶる感じがないから、後輩の皆さんも接しやすいでしょうね。
八木 そうですね。だいたいみんなタメ口で話してきます。僕は八木くんって呼ばれますし、佐々木はTAKAHIROって呼ばれますから（笑）。
――おふたりのコントの実力派はキングオブコント決勝などで実証済みですが、一方で「平場が弱い」とよく言われていたとか……。
佐々木 いまは、もう違います！
八木 GAGの福井（俊太郎）さんには最近、「弱すぎて強い」と言われています。
まわりのみんなとテレビに出たい
――そういう変化も経て、いま、おふたりは芸人としての理想にどれくらい近づけていますか？
佐々木 今年は残念ながら行けませんでしたが、無限大のバトルライブでもぜんぜん勝てなかった時代を思うと、キングオブコントの決勝に連続で行けたのはありがたいです。
八木 僕はやっぱりジャルジャルさんとライブがしたいというのが大きな目標で。３年連続でキングオブコント決勝に行けたときにようやく「声をかけてみるか」と思ってお願いして、2組でユニットライブをやらせてもらっています。それはひとつ夢がかなったなと思いますね。
――大きな夢もかなって、今後の目標は？
八木 キングオブコント優勝と、コントでツアーに行ってみたいというのはありますね。それと、いま有楽町（よしもと有楽町シアター）で一緒にやってるGAG、コマンダンテ、ななまがりとか、まわりのみんなとテレビに出たいです。
佐々木 それ、どういうテレビ？
八木 あるでしょ、どっか使ってくれるところ。
佐々木 全員すぐパンツ一丁になっちゃうよ？ でも、仲間と楽しくどんどん高みを目指していきたいというのは、確かに僕も夢ですね。もちろんネタはずっとやっていきたいし、個人的にはもっとコントがうまくできるようになりたい。まだまだぜんぜん足りていないので、そこを頑張りたいと思います。
公演概要
うるとらブギーズ単独ライブ2022『P』『LP』
日程：11月18日（金）～11月20日（日）
会場：赤坂RED/THEATER
【11月18日（金）】
うるとらブギーズ単独ライブ2022『P』
時間：開場19:00 開演19:30
チケット：前売3,500円 当日4,000円
【11月19日（土）】
うるとらブギーズ単独ライブ2022『LP』
時間：開場15:00 開演15:30
チケット：前売3,000円 当日3,500円 配信1,600円
うるとらブギーズ単独ライブ2022『P』
時間：開場18:00 開演18:30
チケット：前売3,500円 当日4,000円 配信2,000円
【11月20日(日) 】
うるとらブギーズ単独ライブ2022『LP』
時間：開場13:00 開演13:30
チケット：前売3,000円 当日3,500円
うるとらブギーズ単独ライブ2022『P』
時間：開場16:00 開演16:30
チケット：前売3,500円 当日4,000円
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