5月に開催されたベテラン芸人の賞レース『THE SECOND』で、圧巻の漫才を披露した東京吉本の“大将“とも呼ばれる囲碁将棋（文田大介、根建太一）が、BSよしもとで2つの新番組をスタートさせます。自身のYouTubeチャンネルで取り組む「絶景漫才」、芸人聴取率No.1とウワサされるネットラジオ「情熱スリーポイント」など、さまざまなお笑いのかたちを生み出す彼らが考える次の“お笑い番組”とは、どんなものなのか――NSC（吉本総合芸能学院）東京の同期であるてんぐ・横山ミルがインタビュアーとなって、その構想を聞かせてもらいました。
囲碁将棋のBSよしもとの新番組は2本。ひとつは6月11日（日）に放送された特番「テレビでやってみろよ！～楽屋から愛をこめて～」です（7月8日7：00～再放送）。タイトルのとおり、テレビでは到底、放送できないような、劇場のステージや楽屋での企画やノリを実験的に放送してしまおう、というもの。大宮ラクーンよしもと劇場の制作で、「芸人がただ動物になりきる時間」「完全芸人主観のコント映像」といった奇想天外なネタが詰まっています。
もうひとつ、7月9日（日）には、囲碁将棋が後輩のダイタクと楽屋ノリを撮影してそのまま放送する「こんなん見るやついねぇって！～言うな～」（毎週日曜21:00～21:30）が始まります。こちらも番組企画案には、「こっそり楽屋沸かし王」（楽屋の芸人たちをいちばん笑わせられる人を決めよう！）、「麻雀トーク」（麻雀をしているときのトークってなんか面白い！それを見せよう！）といったディープな内容が並んでいます。
THE SECONDは“炎上しないネタ”で
――今日は、よろしくお願いします。BSよしもとの新番組が始まるということで、それに関して聞かせてください。
根建 あかんで（てんぐ・横山の持ちギャグ）
――あかんで！ いや、急になんなの？（笑）
文田 よろしくお願いします。
――まずは、なによりもTHE SECOND、お疲れさまでした！
根建 ありがとう！
文田 よっこん（横山）は見ててどうだった？
――正直、感動した。
文田 嬉しいー、褒められるの好きだから嬉しいわ。
――THE SECOND決勝に出てみた感想を聞かせてもらってもいいですか？
文田 なんだろう、Mー1とはまた違った感じで、ネタがうまくいったかどうかは気になるけど 勝ち負けはあんまり気にならなかったかな
――へぇー！ （根建）太一もそんな感じ？
根建 結果が出たときは悔しかったけど、日が経つに連れて出てよかったっていう気持ちが大きくなっていったかな
文田 新ネタ作ろう！ってハリが出たし、出てよかったっていう気持ちが強い
――反響とかすごかったんじゃない？
根建 よっこん以外の同期はみんな連絡くれた。
――やめろって！ 家族はどうだった？
文田 家族はめちゃ喜んでくれたよ。当日打ち上げとかあって深夜4時くらいに帰ったのね、そしたら娘がわざわざ起きてきてくれて……「パパ、負けて残念だけど、（準々決勝で対戦した）超新塾のほうが面白かった」って言われた。
――（笑）
根建 どうしても当日中に伝えたかったんだろうね（笑）。
――大会には、どういう心境で臨んだの？
文田 自分たち的には優勝するプランと同じくらい、出たときにマイナスプロモーションにならない方法を考えた。
根建 オレたちって、すぐに変なネタやって炎上とかしちゃうのよ。「こんなネタなら、ほかの人に出てほしかった」みたいな。
文田 だから、本当はぜんぶ新ネタで挑もうと思っていたけど、途中で考え方が変わって、むかしのネタとかも引っ張り出してファイナルに臨んだかな。
――それってやっぱり劇場にたくさん出ている（2022年の舞台出演数・吉本2位）からこそ、できたことだよね。
「テレビではやれないノリ」というか「劇場でもやらないノリ」
――そんな囲碁将棋だからこそ、その劇場のノリ、楽屋の感じをそのまま放送する新番組が始まると。
根建 ひとつは「テレビでやってみろよ！〜楽屋より愛をこめて〜」というタイトル通り、テレビでこんなことするわけないっていうことをやってる。大宮の劇場（埼玉・大宮ラクーンよしもと劇場）って吉本の劇場のなかでもガラパゴスだから、そのノリをテレビでやってみようってコンセプトです。
文田 ただこの番組は、よくある「劇場でのノリを持ってくる」というやつのその先、「劇場でもやらないだろ」ってことをやっちゃってる。
根建 すでに何本か撮ってるけど、ヤベェ。
――ヤベェ……というのは？
文田 たとえば「芸人が動物になりきるだけの時間」とかは、タモンズの安部（浩章）、デニスの松下（宣夫）、ナイチンゲールダンスの中野なかるてぃんが、動物の格好で漫談するとかじゃなく、本当に動物になりきる。
根建 それをオレたちが、リモートで見ながら「あ、手振ってますね」とかコメントする。ただ演技が上手い人もいれば、下手な人もいるから、最後まで何の動物をやってたかすらわからないまま終わることも……。
文田 これ、ちゃんとしたテレビマンが編集に入っていたら「3分」の尺で終わると思う。
根建 ただ、見応えはあると思うよ。いままで見たことない映像をお見せすることができると思う。
――確かに、いま聞いただけでもちょっと見てみたくなってる（笑）。
文田 でも、この記事を読んで、番組見ようって思ってくれた人には「不評」だと思う。なにも情報がないなかで、嗅覚だけで番組にたどり着いた“お笑い好き”（の視聴者）で、やっと「まぁ、こういうのもアリだよね」と理解を示してくれる感じだと思う。
根建 だから間違っても、「必見です！」とか書かないで。
文田 「イチオシ番組」とか書かないでね、炎上しちゃうから。
――なにかオススメの企画とかはないの？（笑）
根建 「ななまがり初瀬のちっちゃいパン祭り」とかは、実際に劇場でやってる企画だからオススメかも。
文田 オレらがかかわってるのは「動物のやつ」だけだから。
――なんでよりによってそれなのよ（笑）。
深夜の「麻雀トーク」垂れ流し
――そして、もう1本はレギュラー番組なんだよね。
根建 「こんなん見るやついねぇって！〜言うな〜」というタイトルを見てもらったらわかる通り、さっきのとほぼ同じ内容。
――確かにタイトルは同じようなこと言ってるけど（笑）。
文田 でも、こっちはノリが楽屋に近いかも。
根建 楽屋に急にカメラ入ってきて、「え？ なんですか？」みたいな自然な感じを出してる。
文田 これは囲碁将棋とダイタク2組がメインの番組だから、その2組を知らない人は「見たくない」って思うような作りにちゃんとしてる。
――なんでそっちにちゃんとすんの！？（笑）
文田 番組のサムネイル（一目で内容を伝えるための画像）とかも、「これだったら見たくないだろうな」ってものをちゃんと選んでる。
――でも、2組のことが好きだったら見るのね。
根建 オレらの“秘密基地”的な感じ。それを覗きにきてくださいっていう。
文田 だから、よっこんがいい記事を書いて、見る人が増えちゃったら炎上すると思う。
――なんで取材受けたの！？（笑） で、ここでの企画はたとえばどんな？
根建 まだ企画案だけど、麻雀やりながらトーク垂れ流しとか。深夜2時の麻雀中の会話って、いちばん面白いからね。
文田 有線のJ-POPをただただ歌う時間とか。
根建 「リーチ・オブ・ジョイトイ」とか言ったりね（笑）。あとは、ダイタクがラーメン作りたいって言ってる。
――本当にやりたいことをやるって感じのコンセプトなのね。
文田 ただ、さんざん言ったけど、オレはぜったい見ると思う。
――確かに「見るな」って言われると、どんどん見たくなってきてる。
ズバリ来年のTHE SECONDは！？
――最後に来年の『THE SECOND』に向けて一言、お願いします。
文田 「出ます」って言うようにはしてる。「出ません」って言うより、「出ます」って言ったほうが単独ライブのチケットとか売れるし。
根建 イヤらしいな！
――根建は？
根建 おんなじ
――おんなじ！（笑）
根建 まあ、来年はぜったい優勝目指します！
北風と太陽ではないけれど、「見てください！」「見ないと損しますよ！」という番組ばかりのなか、「見ないでください」「見てもいいけど人を選びますよ」と発信していく姿勢は、いまの時代に反旗を翻す“革命家”といえるかも！？ なんにせよ、怖いもの見たさですが、確実に新しいものを見せてくれるのは間違いないです！
文：ぬまんづ・原いい日（芸人ライター）
番組概要
■『テレビでやってみろよ！〜楽屋より愛をこめて〜』
放送チャンネル：BSよしもと
放送日時：7月8日（土）7：00～再放送
※ 大宮ラクーンよしもと劇場の公式YouTubeチャンネルでも配信予定
出演者：ナレーション・進行 囲碁将棋
GAG／ななまがり／タモンズ 安部／石井輝明／ダイタク／ネルソンズ 岸＆青山／いぬ／デニス 松下／キンボシ 有宗／コットン／ナイチンゲールダンス 中野なかるてぃん
番組公式ページはこちらから。
■囲碁将棋・ダイタクの『こんなん見るやついねぇって！～言うな～』
放送チャンネル：BSよしもと
放送日時：7月9日（日）スタート 毎週日曜21:00〜21:30
出演者：囲碁将棋、ダイタク ほか、劇場出演芸人
【BSよしもとの視聴方法】
BSよしもとはBS 265chです。全番組無料放送でテレビはもちろん、スマートフォン、パソコンでもご視聴いただけます。
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