大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)で活躍する人気芸人たちが、ふだんとは違う相方と即席カルテットを組んで競う『即席最強カルテット決定戦UNC~ユニットネタチャンピオンシップ~2024』が、9月9日(月)に同劇場で開催されました。全国の賞レースでお馴染みのメンバーから、今後が期待される注目の若手まで総勢24人が6チームに分かれて漫才とコントを1本ずつ披露。優勝チームに与えられる賞金は、なんと100万円! 10月3日(木)にFANYチャンネルでも配信予定のこの壮絶バトルの“予告編”を、芸人ライターの翠星チークダンス・木佐がお届けします。
難易度が高いカルテットのネタづくり
今回のMCは、NSC(吉本総合芸能学院)大阪校29期の見取り図(盛山晋太郎、リリー)。審査員はインパルス・板倉俊之、笑い飯・哲夫、ガクテンソク・奥田修二というテレビ特番級の超豪華メンバーが揃いました。
そして参加者は、カベポスター、ダブルヒガシ、フースーヤ、天才ピアニスト、ツートライブ、隣人、20世紀、豪快キャプテン、ドーナツ・ピーナツ、バッテリィズ、空前メテオ、清川雄司、やました――という面々です。
事前に決められたチーム編成は以下の通り。見るだけでワクワクするチーム分けです。
【Aチーム】
谷口理(フースーヤ)、山下ギャンブルゴリラ(豪快キャプテン)、エース(バッテリィズ)、大東翔生(ダブルヒガシ)
【Bチーム】
竹内知咲(天才ピアニスト)、木本悠斗(20世紀)、橋本市民球場(隣人)、ピーナツ(ドーナツ・ピーナツ)
【Cチーム】
田中ショータイム( フースーヤ)、やました、寺家(バッテリィズ)、しげ(20世紀)
【Dチーム】
周平魂(ツートライブ)、茶屋(空前メテオ)、東良介(ダブルヒガシ)、べーやん(豪快キャプテン)
【Eチーム】
ますみ(天才ピアニスト)、浜田順平(カベポスター)、たかのり(ツートライブ)、大門正尚(空前メテオ)
【Fチーム】
清川雄司、永見大吾(カベポスター)、ドーナツ(ドーナツ・ピーナツ)、中村遊直(隣人)
このイベントでしか見ることの出来ない特別なネタばかり披露されるということで、会場はそれを見届けたい“マンゲキ”ファンたちでチケット完売の超満員。さらに各チーム2本ずつの計12本もネタが見られるという大満足のボリュームで、僕もイチお笑いファンとしてどんなネタが繰り広げられるのか楽しみでした。
そもそも芸人目線で考えると、漫才でもコントでも、カルテットでネタをするというのは非常に難易度が高いことです。M-1グランプリでもキングオブコントでも歴代のファイナリストに4人組は存在しないほど。ネタづくり担当者からすると、どのようなネタをつくればいいのか参考になる資料がないような状態です。
が、逆に言うと4人組でのネタはそれだけ未開拓の土地のようなものでもあるため、もしかするとまだ誰も思いついていないような革新的なネタが生まれる可能性も大いにあり得るのです。
正式な4人組になっても違和感がない完成度
イベントのタイトルにこそ「即席」と書かれていますが、大会の数週間前からチームは決まっていて、ふたを開けると各チームかなり作り込まれたネタが2本ずつ用意され、実に見事な完成度でした。
まず、Aチームは、お笑いファンなら集まったことが奇跡とも思えるぐらいの面白そうな仲良し4人組で、悪ガキ3人が大声で説教される様子が目に浮かびます。そんな関係性を生かした漫才と、日常のワンシーンを切り取ってこの4人の色に染め上げたコントは楽しさいっぱいでした。
Bチームは、ネタづくりに定評のあるメンバーばかりが集まっていて、「いいものを見せてくれそう」という期待どおり、このまま正式な4人組としてお笑いライブに出演しても違和感のない完成度の高い2本を納品したプロフェッショナル集団でした。
そしてCチームは、一見、どんなネタをするのか想像がつかないメンバーながら、4人組ならではの構図をうまく使った漫才と、ハマり役ばかりのド派手で狂気的なコントで客席と審査員の心をつかみます。
ふだんネタをつくらない4人が集まって…
続くDチームは、周平魂と茶屋というぶっ飛んだ発想力を持つ2人のアイデアを濃縮したようなネタで勝負です。漫才は、恐らくまだ誰もやっていない、4人だからできる新しいシステムを発明していて、コントはMCの見取り図・盛山も「思ってたより尖ってた」と驚愕するぐらい、多様性が謳われる今の時代の、さらにその先をいく画期的な設定と展開を見せつけました。
Eチームは、ふだん誰もコンビのネタづくりを担当していない4人が集まっていて、それがかえって奇跡の化学反応を起こします。バカバカしすぎるネタは、何も考えず頭を空っぽにして笑えました。「笑かされた」のほうが正しいかもしれません。クセのあるキャラクターの爆発力の強さを見せつけたコント、そして全国ネットのテレビ番組で流れたら次の日から小学生がマネすること間違いなしの漫才でした。
最後のFチームは、事前のチーム決めVTRでは出演者のほとんどがチームに入ってほしがっていたほどの、ずば抜けたネタづくりセンスを持つカベポスター・永見をブレーンに、それぞれ個性の強いメンバーの特性を見事にそのまま使ったネタを見せつけました。
ここでしか見られないネタが12本、そして各チームのネタ前に流れる、賞レース特有のあおりVTRもかなり内容たっぷりで、ネタ作りの様子や打ち合わせの雰囲気など、ふだん見ることができない芸人たちの裏側を見られるファン必見の内容で、“マンゲキファン”は満足すること間違いなし!
果たして優勝賞金100万円を手にするのはどのチームなのか。この大会の様子はFANYチャンネル・Amazon Prime Video「大阪チャンネルセレクト」にて10月3日(木)に配信予定です。かなりオススメです!