芸歴7年目以下の若手芸人が芸を磨く登竜門的な劇場「神保町よしもと漫才劇場」では、熾烈なバトルが日々繰り広げられています。そのランキング戦で1位となり、劇場5組目のランク最上位に輝いたのが、いま注目のお笑いコンビ・ナイチンゲールダンス（中野なかるてぃん、ヤス）です。今回は2人に、Instagramの“プチバズり”ネタや、『M-1』に出場しないワケなどを聞きました。
神保町よしもと漫才劇場のランキングシステムは、10月にランク上位から「花」、「鳥」、「風」、「月」という名称に変更。それ伴って、これまで「グランドバトル」と呼ばれていた決勝バトルも、「頂～鳥～」というタイトルに変更されました。
10月31日（土）に開催された「頂～鳥～」戦で優勝したナイチンゲールダンスは、令和ロマン、ネイチャーバーガー、9番街レトロ、ぼる塾に続いて5組目となる「花」へ昇格しました。開催日がハロウィンだったこともあり、ヤスは「こんなに幸せなハロウィンは初めて」と喜びを噛みしめました。
勝ち上がった精鋭10組が渾身ネタを披露！
この日の決勝を争ったのは、ナイチンゲールダンスを含めて計10組。集計の結果、3位となったのはせみほたる（村田優斗、大島誠也）。そして、中学の同窓会での話題を皮切りに、ちまたで話題となっている“あだ名”を題材とした漫才で怒涛の掛け合いを見せた素敵じゃないか（柏木成彦、吉野晋右）が2位に。
1位は、学生時代の朝礼での出来事を題材とした漫才を披露したナイチンゲールダンスでした。
「いつも2位だったので、今日こそ1位になりたい」と意気込んでいた中野は、「やったー！ 嬉しいです！」と喜びを爆発させます。楽屋から舞台へ駆け込んできたヤスも「ありがとうございます！ 嬉しい！」とガッツポーズ見せました。
半年間で4回家を追い出された
ランク最上位になったナイチンゲールダンスに、その心境や今後やってみたいことなどを聞きました。
――1位おめでとうございます！ いまの気持ちはいかがですか？
中野 うれぴーーー！！！ いままでの決勝は、いつも2位で。（新型コロナウイルス感染拡大対策で）2位だと1人しか舞台に上がれないから僕が毎回出てたんですけど、次第に2位用のコメントがなくなってきて。
ヤス 俺は俺で、楽屋で同じように2位のリアクションをしなきゃいけなかったから難しかったよ。悔しがりすぎると同情されて笑ってもらえないし、笑いに行きすぎたことを言ってもウケないし。
まぁ、本当によかったです、1位になれて。神保町の漫才劇場ができてから、人生がどん底に落ち始めたんですよ。まず彼女に追い出されて家がなくなってから、半年で住む家が4回変わっていて。
中野 先輩や同期の家を転々としてるらしいんですけど、いつも追い出されてしまってるみたいです。
ヤス 何が原因なんだろうな？ 家で女の子と遊んだりはしたけど。
中野 ……それじゃないか？
ヤス 勝手に照明器具を揃えて、YouTube用のスタジオにしたり。
中野 それじゃないか？ あと、でっかい油絵を持ち込んで玄関に飾ったんですよね。「俺が芸術家だ！」って描いた絵だけを持って彼女の家を出たらしいんですけど、転がり込まれた先の人たちは「いらなさすぎるだろ、これ」って怒ってました（笑）。
ヤス 衣装も盗まれましたし、なによりコロナの影響で劇場出番がなくなっちゃって……。芸人になったばかりのころはテレビにも出てましたけど、いつの間にかそういう機会もなくなって。ネタを頑張るしかないなという気持ちで頑張ってきて、ようやく今日、ネタで挽回することができました。
中野 まぁ、でもここからですよね。いまは、ようやくスタートラインに立てたっていう気持ちです。
『M-1』に3年間出ないワケ
――「花」になってやってみたいライブはありますか？
ヤス ヨシモト∞ホール時代は、1年間で90本近く主催ライブをやってたんですよ。さっきスタッフさんに聞いたら、主催ライブ打ち放題だって……（後ろにいるスタッフ、大きく首を何度も横に振る）。「そんなことは言ってない」っていう感じで首振ってますけど、吉本らしくみんなで1つの笑いを作るようなコーナーライブを神保町メンバーだけでやりたいですね。
中野 僕は「中野なかるてぃんの起床時間」というTwitterアカウントで、毎朝起きて「今起きました」って呟いて、フォロワーの方がくれたリプライにすべて返事をするっていうのを2年以上やってまして。ヨシモト∞ドームでやったファンミーティングを、神保町でまた絶対にやりたいなと思ってます。もちろん、2人だけの単独ライブもやれたらいいなと。ネタはもちろん頑張っていきたいですから。
ヤス 芸人はネタがいちばん大事ですから頑張りたいですね。
――ちなみに今回の『M-1グランプリ』には出場しているんですか？
中野 『M-1』は3年間、出てないんですよ。
ヤス ちょっとお休みしているというか、『M-1』に出るとなるとネタを叩かなきゃいけないじゃないですか。芸歴が浅いうちはそういう作業より、自分の可能性を広げるほうが今後、有利に働くんじゃないかなっていう考えで出てないんです。あと、『M-1』が大好きだからこそ、とりあえず出ようみたいな腑抜けた気持ちでは出たくないっていう気持ちもあって。納得のいくネタが2本できれば、挑戦すると思います。
ヤス考案「#こけ彼」でフォロワー増
――では、芸人としての理想像は？
中野 子どもに笑ってもらえるような、マスコットみたいな存在になりたいなって。（NHKの）Eテレに出たいので、今後は子どもにウケるネタも作っていきたいですね。いま尻文字で数字の書き順を教えるっていうネタはあるんですけど。
ヤス あれ、すごいよね？ 初めて∞ホールでやったとき、目の前に座ってたギャルが手ぇ叩いて笑ってましたから。
中野 いろんな人を幸せにできるキャラクターのような存在になりたいですね。
ヤス 僕は……『バチェロレッテ』（Amazon Prime Videoで配信中の人気恋愛リアリティショー）でしたっけ？ ああいうのが理想です。
中野 バチェラーじゃなくて、参加者になりたいってこと？
ヤス そうそう。参加者にもなりたいし、ああいう企画を主催してもみたい。あと、インスタのリールっていう機能（ショートムービーを作成・投稿できる機能）でいま、「#こけ彼」でちょっとだけバズっていて、1分に1人、フォロワーが増えてるんですよ。
――「#こけ彼」ってどういうものなんですか？
ヤス 彼氏役の僕がコケるっていうものなんですけど、載せ始めて3～4日で200～300人くらいフォロワーが増えました。
中野 いいペースだね。誰か有名な人が見てくれたら、もっといくんじゃない？
ヤス きゃりーぱみゅぱみゅさんとかが好きになってくれそう！ 好きになってくれるといいなぁ！ 神保町もTikTokを始めたらしいので、いろんな世代の人が劇場に興味を持ってもらえるようにSNSでの投稿も頑張っていきたいですね。
ヤスのInstagram「＃こけ彼」はこちらから。
神保町よしもと漫才劇場の公式TikTok「神保町TikTok劇場」はこちらから。
