『女芸人No.1決定戦 THE W 2023』(日本テレビ系、12月9日放送)で、優勝した紅しょうが(熊元プロレス、稲田美紀)は、5度目の決勝進出でようやく悲願を達成しました。今年の春に東京進出した2人は、どのように栄冠を手にしたのか――。大会史上最多となる863組のエントリーの中から勝ち上がった熊元と稲田に、大会でのハプニングや優勝後の変化、そして来年に向けた意気込みをインタビューしました。
育った豆苗に「私、頑張ったよ」
――優勝して10日ほど経ちましたが、現在の心境を教えてください。
熊元 優勝した瞬間は実感がなかったんですけど、一度、お仕事をご一緒させていただいた笑福亭鶴瓶さんからお電話をいただいたり、ふだん喋ったことのない先輩にも「おめでとう」と言っていただけたりするので、そこで実感が湧くというか、嬉しいですね。
稲田 確かに。ルミネtheよしもとでも、自分がテレビで見てた先輩から「おめでとう」と言われるのは嬉しいよな。ニュースではなくて、ちゃんとネタも観てくださった方がめっちゃいて、それで「面白かったよ」と言っていただけるので、ほんまに嬉しいです。
熊元 いい意味で、5回決勝に出て、卒業というか「終わった~!」という感情も正直ありますね。
稲田 優勝したら(ご褒美で)「めっちゃいいホテルに泊まれる」ということになってました。去年も(優勝して泊まるつもりで)2日分の荷物を大阪から持ってきて、熊元さんと(ホテルを見ながら)「あそこやな」とか言うてたのに、負けたから帰らなアカンくて……。
今回、(今年は)東京に住んでいますし、頑張れば帰れたんですけど、せっかくなのでホテルに泊まらせてもらったんですよ。2日ぶりに家に帰ったら、短かった豆苗がワーって成長していて、その豆苗に「私、頑張ったよ」とは言いました。
――(笑)。芸人さん以外には、どんな人から連絡がありましたか?
稲田 なんばグランド花月の1階で占いをしている服部宝観さんは、前のコンビのときからお話させてもらっていて、単独ライブのチケットが売れへんときは「行かへんけど、買うわ」とチケットを買ってくれるほど、お世話になっていたんですよ。その方が初めてお祝いのメールをくれました。
昨日、大阪で仕事があったので、直接、お礼を言いに行ったら「やっとやな」「(芸歴)10年目やもんな」と返してくれて、めっちゃ嬉しかったですね。芸人は(服部さんを)「ミナミの父」と呼んで笑っているんですけど、私からすると「本当のミナミの父」なんで(笑)。
熊元 いままでの全元カレから連絡が来ましたね。それ以外に、むかし好きだった人からも連絡があったんですけど、その人は、お笑いライブを一緒に観に行ったり、イルミネーションの季節に映画を観に行って、ゴハンを一緒に食べたり、絶対つき合えると思っていた人なんですよ。
2人で家にいるときも、(ポテトチップスの)プリングルズを2枚重ねて、くちばしみたいな形にして、お互いそれをくわえて、プリングルス同士でチュッとしたこともあって。これを、お酒の力を借りず、シラフでしたので、絶対につき合えると思っていたのに、その1週間後に友だちとつき合って……。その人からも、「おめでとう。やったな」と連絡がきました。嬉しいのと同時に「逃したんちゃうか?」みたいな感情が湧きましたね。
稲田 それ10年以上前の人じゃない?
熊元 そうよ。12年前。
稲田 12年前!?(笑) 干支一周してんねんで?
熊元 (笑)
冒頭でいきなりセリフを間違えていた!?
――今回の「THE W」で、印象的だったことはありますか。
熊元 正直、5回も出ていますし、緊張はしていなくて、落ち着いてやろうと思っていたのに、第一声でまったく違う台詞を言ってしまいまして……。本当は緊張していたのか、逆に緩みすぎていたのか……自分が怖かったですね。
――そんなことがあったんですね! どんな台詞だったんですか?
熊元 「お相撲さんの出待ち」のネタで、お相撲さんが出てきたときに「本日も稽古ご苦労さまでした。 明日の取り組みも頑張ってください!」と言うところを「本日は、ごちそうさまでした」と言ってしまいました。
――確かに言ってましたね(笑)。
稲田 舞台袖で控えていた私も「ヤバい。変なこと言ってる!」と思いました(笑)。だって、ふつうの台詞やし、別に噛むようなところでもないし……。すごい間違いはしているんですけど、これ熊元さん(のキャラ)やから、いけたんちゃうかなと思いましたね。
熊元 そのあとの台詞に「ごちそうさま」という台詞なんて1個もないので、なんでその言葉が出たのか、ほんまに自分でもわからなくて……。ネタ中、頭をぐるぐる回すなか、お客さんがクスクス笑ってたから、「ごちそうさまで笑ってるんやとしたら、次の感じがちょっと変わってくるな」とか、「これはこのまま『ごちそうさま』に統一したほうがいいのか」とか、いろんなことを思ったんですけど、結局、もとに戻しました。
稲田 あとになって、熊元さんから「『ごちそうさまでした』で統一しようかと考えていた」と聞いてびっくりしましたね。そっちに行ったら、だいぶ話変わってくるから!
熊元 ちゃんと戻せたのは、やっぱり5回出てる経験があるからだと思うんです。1回目やったらテンパってネタを飛ばしていた可能性もあるので。
――稲田さんの印象的な出来事はなんですか?
稲田 「めっちゃいい流れやな」と思った瞬間があったんですよ。(審査員から)全部票が入って、平場(トーク部分)でも「今日、ついてるかも」と思ったので、ファイナルラウンドの出番順をくじ引きするときに、初めて「私に引かせてほしい」とお願いしました。いつも「今日はあんまり運が良くないな」と思ったら、熊元さんにお願いしているんですけど、今回は自分で「いける」と思って。
――どのタイミングで「いける」と感じたんですか?
稲田 ハイツ友の会(清水香奈芽、西野)とのやりとりのとき、西野ちゃんが、私の私服をイジってくれて「関係ないやろ!」と返したところですね。マックスで怒りすぎたんですけど、それを言ったときに、ちょっとだけリラックスできたんです。
熊元 賞レースの話やから美談みたいになっていますけど、ふつうに考えたら「人に怒鳴って落ち着く」って、すごいリラックスの仕方ですけどね(笑)。
稲田 (尼神インターの)渚さんは、あれをめっちゃ褒めてくれました。「同じキレる先輩に褒められた。よしよしよし」と思いましたね。
熊元「10年目なので満席でライブがしたい」
――2024年はさらなる飛躍の年になると思います。目標を教えてください。
熊元 もちろんテレビにバンバン出たいんですけど、優勝したので、単独ライブの客席を埋めたいですね。大阪最後の単独で満席になったり、今年、東京に来て、東京記念で満席になったりはあるんですけど、正直、満席でやることが難しくて。10年目にもなったので、満席でライブができたらなと思います。
あと、YouTubeの「紅しょうがのバンザイちゃんねる」で、タンクトップキッチンという企画をやっていて、私がタンクトップを着て、料理をするだけなんですけど、そのライブもやっているので、それで全国まわれたらなと。
――(笑)
稲田 2024年の1月4日(木)にヨシモト∞ホールで『新春!公開タンクトップキッチン』と『紅しょうがno寄席』のライブをやるんですけど、先にタンクトップのほうが売れたんですよ。これが恥ずかしい! 結局、どちらも売り切れたんでいいんですけど(オンラインチケットは販売中)、「なんでTHE W優勝のタイミングで、先にタンクトップが売れてんねん!」と思いましたね(笑)。やっぱりネタも観ていただきたいです。
あと、地元の大阪・和泉市で「いずみの国和泉市PR大使」をやらせてもらっているので、地元でもライブができたらいいなとは思っています。
熊元 和泉市の会館で1回やらせてもらったことがあったんですけど、そのときのメンバーが、マユリカさん、ビスケットブラザーズさん、カベポスター、エルフ。みんな人気ですけど、客席は年配の方が多くて、どうかな、と思っていたら大盛り上がり。和泉市はめっちゃ温かかったです。
稲田 みんな、「もう1回やりましょう」「泊まりましょう」とか言うてね。本当にいい町なんで、そんな場所で、またライブができたらいいなと思っています。
取材・文・写真:浜瀬将樹
公演概要
■『新春!公開タンクトップキッチン』
日程:2024年1月4日(木) 開場16:10 開演16:30
場所:ヨシモト∞ホール
チケット:前売り2000円 配信1200円
※会場チケットは完売
FANYチケットオンライン(配信)はこちらから。
■『紅しょうがno寄席』
日程:2024年1月4日(木) 開場18:10 開演18:30
場所:ヨシモト∞ホール
チケット:前売り2000円 配信1200円
※会場チケットは完売
FANYチケットオンライン(配信)はこちらから。