4分間に全力を注ぐ全国の若き漫才師たちの頂点を決める『M-1グランプリ2025』の決勝が、12月21日(日)にABCテレビ・テレビ朝日系全国ネットで生放送されます。過去最多となる11,521組がエントリーしたなか、ファイナリストに残ったのは9組。今回は、ドンデコルテ(小橋共作、渡辺銀次)の決勝直前インタビューをお届けします!

M-1決勝を盛り上げたい!
――初めての決勝進出、おめでとうございます。今の率直なお気持ちは?
小橋共作(以下、小橋) とにかく嬉しいですね。心のどこかに「決勝どうしよう」もありますけど、「ただただ嬉しい」がほぼ占めています。
渡辺銀次(以下、渡辺) 僕、同期がほとんどみんな売れちゃっているんで、1割2割くらいは「なんとかしねぇとな」っていうのもやっぱりありますね。もちろん嬉しいんですけど。
――「なんとかしないと」=「売れたい」ですか?
渡辺 「売れる」なのかわからないですけど、「なんとかなったな」と思われるように、M-1決勝を盛り上げたいなと思います。
小橋 (渡辺が)相席スタートの山添さんと一緒に住んでいて。山添さんが先にドカッと売れて、家からいなくなったとき、「すごく頑張らないとな、と思った」と言っていたんで。
渡辺 寂しいのもありましたし。ずっと置いていかれているという心象なんですよ。そんなこと向こうは思っていないんですけど、勝手にこっち側は思っちゃうんで。だから何とかしないとなぁと思いますね。
――今回の『M-1』のコピーが「漫才万歳」です。これまでのキャリアで「漫才をしていてよかった」「漫才っていいな」と思った瞬間はありましたか?どんな瞬間でしたか?
小橋 前回(昨年)準決勝まで行ったので、M-1ツアーでいろんなところに行かせてもらったんですね。北海道で、ダメもとで前乗りができるか聞いてみたら、させてもらえたんですよ! そのときに「漫才っていいな」と思いましたね。
――北海道の前乗りは最高ですね(笑)。
渡辺 三浦(大輔)監督にも会えたしな。
小橋 そうなんです。僕、横浜DeNAベイスターズの大ファンなんです。家族チャーハンがキム兄(木村祐一)さんのラジオに、体調不良で出られなくなったときに、代演の話が来て。
渡辺 僕らはずっと健康なんです。コロナ期とかも劇場を支えて、支えて。
小橋 代演王なんです。「すぐに行けますか」っていわれて、「はい、もちろん行けます」と言ったら、僕らの前のゲストがたまたま三浦元監督だということがわかって。もうね、入り時間の1時間前ぐらいに行ってね。
渡辺 ずっとそわそわして。監督はそんなんされたら嫌だろうに(笑)。
小橋 監督は本当にお優しい方で、ユニフォームと試合球にサインをいただいて。めちゃくちゃ「漫才していてよかったな」と思いました。
渡辺 僕は寄席のときに、毎回「漫才でよかったな」って思います。コントだと、リハがあるからめっちゃ朝が早いんですよ。
小橋 漫才っていいよねぇ〜!
渡辺 いいよねぇ〜。僕らは本番30分前に入って、着替えて、舞台に立つ。直前のコンビのネタによって、自分たちのネタをかえられるのもめっちゃいいですね。
シワになりにくい衣装と軽い靴が欲しい!
――体一つでできる。
渡辺 漫才で大変だなと思うのは、重たい靴を持ち運ばなきゃいけないところです。
小橋 お金があれば、シワになりにくい衣装と軽い靴が手に入る。そうすれば持ち運びが楽になる。漫才って本当にいいですよ。
渡辺 売れている兄さん方が着ているセットアップの衣装は、ジャージ生地なのでコンパクトに畳んでトートバッグに入るんですよね。あれはいいですねぇ。逆にかっちりしたスーツでやってらっしゃる兄さん方、博多華丸・大吉さんとかはね、各劇場にスーツを置いているらしいんです。そういう格好いいパターンもあります。各劇場にスーツを保管できるということは、各劇場にそれだけ貢献したってことですからね。
――現状の衣装はやや重ですか?
小橋 これは重いですね。
渡辺 この靴も、レザーソウルのすごくいいものを選んだので重いです。劇場に置けるんですけど、そこの劇場だけじゃないんで、持ち運んでいます。
小橋 靴は買ったときにあんまりお金がなくて、安くて高く見えるやつを買ったんですよ。そしたら、もうとにかく重くて。
渡辺 そうなるよな。
小橋 だから安くて、高く見えて、軽〜いやつがあればいいんですけどね。
渡辺 高くて軽い靴が買えたらもっといい。
――優勝したら賞金で買えますね。
社会保険料を一括払いの振込用紙で払いたい!?

――賞金1000万の使い道は想像していますか?
渡辺 本当にどういう稼ぎになるかわからないので、来年が。ただ、税金には絶対使うと思っています。
小橋 それはそうだね。
渡辺 マジで。もう40歳なんで。
小橋 いろいろ調べて。
――社会を知っている。
渡辺 はい。保険料の振込用紙が束で届くじゃないすか。こんな分厚い封筒で来て。あれを束でゴソッと払えるようになりたいです。こまめに支払うのが、マジでもう嫌!
小橋 確かに僕も毎月払っているんですけど、一括払いの振込用紙で払えるようになりたいです。
渡辺 カゲヤマの益田のご実家に住まわせてもらっているんですけれども、ご立派な一軒家で、塀が木製なんですよ。その木の塀に、悪くなって欠けている部分があるので、その修理代は私に出させていただきたいと思っています。次の5月でもう10年になるので。本当に安いお金で住まわせていただいているので、それは絶対に直したいなと思っています。
小橋 アメリカ行きたいです。僕、アメリカが大好きで、ずっと行くのが夢で。
渡辺 どうするよ。忙しくなったらさ、アメリカ行けないし。忙しくないと金はないし、大変よ。
小橋 5年は我慢する。
渡辺 休み取って行ってみたら? もしくは、「アメリカ行きたい」って言いまくったら、そういう仕事も来そうだし。
小橋 確かに。アメリカ行きたいな〜!
――「アメリカズ・ゴット・タレント」で芸人さん方が行かれていますが。
小橋 あ、全然興味ないです。仕事で行きたいとか、そんなん全然ないんで。アメリカで犬と散歩したりとか、ニューヨークの街をコーヒー片手に歩くとか、生活をしているみたいな感じをやってみたいんです。
小橋が平場でボケるのをやめた理由
――「ファイナリストの中で俺たちが一番◯◯だ」。この◯◯に入る言葉は?
渡辺 一番「心模様を喋ること」だと思いますね。
小橋 確かに、全部本音でやっているもんね。一番さらけ出しているよね。
渡辺 思っていることをちょっと過剰に言ってみたりとか、デフォルメはしていますけど、そういうことなのかなと思いますね。一番「裸」かもしれない。
小橋 一番「人間」だ。
渡辺 一番「人間」ですね。
――小橋さんも?
渡辺 小橋もそうですよ。背伸びをしないですし。
――先程の「アメリカが好きだから、遊びに行きたい」という発言がまさにそうですね。
小橋 そうです、そうです。平場でボケるのもやめているんですよ。僕がお笑いやると、マジでお客さんが怒るんで。
渡辺 一気に怒る空気があるんです。
小橋 「俺、お笑いやっちゃダメなんだ」と。
渡辺 「あいつ、しゃらくせぇ動きしたな」じゃないですけど、お客さんが「え? 小橋が!?」となる瞬間があるんです。
小橋 でも、思ったことを言ったら普通にウケたりするんですよ。だからやっぱり「人間」ですね。

ヤーレンズと横並びに立てる喜び
――ほかのファイナリストの中で、意識しているコンビは?それはなぜ?
渡辺 「全員」と言ったら冷めますもんね。誰でしょうねぇ。
小橋 僕的には、ヤーレンズさんがなんだかんだ一番長く一緒にやってると思うんですよ。神保町でも。
渡辺 我々が仮コンビのときからやってるんで、ちょっと感慨深いですね。
小橋 一緒にやってきたって言っても、ヤーレンズさんがずっと上にいらっしゃったんですよ。準決勝にも決勝にも先に行かれていて、いつも「追いつかないと」と思っていて。そういう状態だったので、やっと同じ舞台には立てたのかなと。
渡辺 もちろん2人は、我々よりだいぶ高いところをみてらっしゃるんでしょうけど。それでも横並びに立てるという喜びがありましたね。決勝進出者会見のときに向かいにいらっしゃって、「あー、ヤーレンズさんがいる!」という喜びがありました。
――何か話されましたか?
渡辺 特に。「おめでとう」と言い合うくらいの日常会話ですね。もう1組挙げるなら、たくろう! 面白い!
小橋 面白いね。
渡辺 たくろうも「実力者だ」となってから結構長いので。
小橋 (たくろうの)きむらバンドは僕と大阪の同期なんです。本当に面白いっすね。
渡辺 準決勝で、袖にたくろうを見に行って。「最悪だな!」と思いながら大爆笑していました。大笑いしながら、「うわ! 最悪! 面白い!」って。
小橋 俺らよりウケてるー!
渡辺 いや、客にウケてるかどうかよりも、自分が「あいつら面白い!」と思ってしまうことに、すごい食らうんですよね。
渡辺の方が“粋”に思われやすい!?
――渡辺さんが、きむらさんにはトイレで、赤木さんには喫煙所で、違う褒め方をしたそうですね。粋だなと思いました。
小橋 ナベ(渡辺)さんてね、粋なことするんですよね。俺も「面白かった」といっているんですけど、コンビなんで、粋なことした方の記憶しかみんな残らないんですよ。
渡辺 俺も小橋も一緒のことをしてるんですよ。俺の方が粋に思われやすい人間なんです。
小橋 だから僕はちゃんと「言ったよ」という証拠を残すために、LINEとかで記録に残していかないといけない。
渡辺 粋じゃないな(笑)。
――決勝当日に実行したい最強のルーティンはありますか?
渡辺 前の晩には湯船に浸かりたいですね。当日は、T字で髭を剃る。いつも電動シェーバーなんすけど、T字カミソリで深掘りをするという験担ぎはやっています。
――勝負の日は、T字カミソリ。
渡辺 はい。M-1に限ったことじゃないですけど。トゥルトゥルになります。
小橋 僕はジムで筋トレしているんですよ。節制ができないんで、いい体ではないんですけど。勝負の日は、いつも通りジムに行って、マックス重量よりもちょっと重たいやつを持ち上げてみるというトレーニングをやっています。
渡辺 できるのかよ、お前。
小橋 持ち上がったら、めっちゃいけそうじゃん。「うおー! 今日もマックス更新できたー! いけるぞー!」って。
渡辺 大丈夫かよ、お前。俺が40歳だから目立たないけど、お前も若くはないんだし。
小橋 準決勝の朝は、ベンチプレスを95キロ持ち上げてみました。で、上がらなかったです(笑)。そんな簡単にマックスなんて更新できるものじゃないんで。でも、持てない方が「何くそ」という気持ちになっていいのかもしれないですね。
カゲヤマ益田の“優しい”差し入れ
渡辺 準決勝の前の日に、(カゲヤマの)益田が差し入れをしてくれたんですよ。レモン果汁入り飲料を出して、「これは、今から」。乳製品乳酸菌飲料を出して、「これは、寝る前」。発酵乳を出して、「これは起きてから」って並べてくれました。
小橋 マジで優しいなあ(笑)。

――今回のM-1グランプリで一番印象に残っている出来事を教えてください。
渡辺 俺、心が壊れているのか、緊張しなくなってきていて。3回戦で緊張しなさすぎて、めっちゃ出来が悪かったんです。
小橋 あぁ、悪かった。俺もだけど。
渡辺 「緊張しなきゃダメだ」と思ったのが、今回のM-1でしたね。成功体験の逆で、失敗体験が多すぎて、心が動きにくくなってしまったんです。そのせいで緊張感がなくなって、出来が悪かったのが、良くなかったなって。でも、どうやって緊張すればいいんだっていう。
――「緊張しなきゃ」と思って、緊張できるものですか?
渡辺 できないです。だから、なんとか「丁寧に」という意識に持っていってます。
小橋 それで言えば僕は真逆で、昨年準決勝まで行けたんで、今年は準々決勝の前が一番緊張していたんですよ。 同期の素敵じゃないかの柏木に、「お前、男の顔になってきたな」と言われて気がついたんですけど、僕は緊張してはいけないタイプだと思うんです。キャラクター的に。だから毎日緊張しながら、「緊張してはいけない」と言い聞かせていました(笑)。
――結果はどうでしたか?
小橋 準々決勝も準決勝も、当日は全く緊張しなかったです。でも、どちらも前日は、家に帰って、換気扇の前でタバコを吸いながらお酒を飲んで、スマホも触らないまま1時間経っているみたいな、ノイローゼみたいな状態で。
渡辺 へえ〜。
小橋 人生で初めての体験だったかもしれないです。
渡辺 ネタ書いている方みたいだなお前!
小橋 そうなんですよ。俺、何も考えてないんですよ。ネタも何も。だから俺は緊張しないのだろうかとか、前のコンビがウケたとしても緊張しないでいられるのだろうかとか、そういういらないことを考えるメンタルになっちゃいました。今年は初めて(笑)。
――でも、当日は大丈夫だった。
小橋 はい。朝起きたら反動なのか、全然大丈夫だったんで。こういうことに関しては「やっぱ俺ってすごいな」と思いました(笑)。
――メンタルが強い!
小橋「絶対にミスらないでね」渡辺「うん、頑張る」
――M-1グランプリ決勝へ向けた意気込みと、相方への一言をお願いします。
渡辺 当日はもうやるだけなので、「前日までに頑張れよ」と自分に言いたいですね。で、相方に一言か……。
小橋 あんま俺のこと考えたことないよね。
渡辺 そうねぇ。やっぱり小橋には小橋でいてもらうべきなんで、「こうしろ」とか「こうなれ」とかはないです。このまま、小橋のままでいるべきだと思いますよ。
小橋 助かります。僕は、楽しむことですね。ビリでもいいやぐらいの感じでいった方がいいのかなと思っていて。「笑神籤(えみくじ)」でトップバッターになったとしたら、その時に「最悪だ!」と思ったら「最悪だ!」って言うし。
渡辺 (笑)
小橋 「マジで行きたくない!」と思ったら「マジでまだ行きたくない」とか言います。というぐらいの気持ちで、決勝を楽しく過ごしたいですね。
――渡辺さんに一言。
小橋 絶対に噛まないでよ(笑)。
渡辺 こいつはこういうのを言うんです(苦笑)。
小橋 絶対にミスらないでね。
渡辺 (ちょっと拗ねたように)うん、頑張る。
小橋 嘘、嘘、嘘(笑)。相方は前日まで頑張りたいと言っていましたけど、俺的には「もう頑張らないでいいよ」と言いたい状況ではあります。でも、頑張っていない相方を見たことがないんで。
渡辺 頑張ってないですよ、全然。
小橋 いやいや、頑張ってます。
渡辺 前日までは、頑張ります。当日はもう本当にやるだけです。
小橋 頑張らずに挑んでしまったM-1はとんでもない結果になっちゃう可能性もあるので、本当に普段通りに。ストレスだけは溜めないように、決勝を楽しみましょう。
大会概要
M-1グランプリ2025
≪敗者復活戦≫
放送日時:12月21日(日)15:00~18:30
放送:ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 生放送
会場:EX THEATER ROPPONGI
司会:陣内智則、齊藤京子
出場者:おおぞらモード、20世紀、今夜も星が綺麗、ひつじねいり、フランツ、ゼロカラン、大王、センチネル、イチゴ、カナメストーン、ミカボ、例えば炎、生姜猫、ネコニスズ、ドーナツ・ピーナツ、滝音、TCクラクション、黒帯、カベポスター、スタミナパン、ミキ、豆鉄砲
審査員:井口浩之(ウエストランド)、久保田かずのぶ(とろサーモン)、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、ユースケ(ダイアン)、渡辺隆(錦鯉)
≪決勝≫
放送日:12月21日(日)18:30~22:10
会場:テレビ朝日
司会:今田耕司、上戸彩
出場者:真空ジェシカ、豪快キャプテン、ヨネダ2000、めぞん、ドンデコルテ、エバース、たくろう、ヤーレンズ、ママタルト、敗者復活枠1組
審査員:海原ともこ(海原やすよ ともこ)、後藤輝基(フットボールアワー)、駒場孝(ミルクボーイ)、柴田英嗣(アンタッチャブル)、哲夫(笑い飯)、博多大吉(博多華丸・大吉)、塙宣之(ナイツ)、山内健司(かまいたち)、礼二(中川家)
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