『M-1グランプリ2025』で念願の王者となった、たくろう(赤木裕、きむらバンド)。優勝が決まって「いやぁ、デカいっすね。すごい」と思わず漏らしたように、その瞬間からSNSは話題沸騰、翌朝からテレビ各局をはしごして、まさにどデカいことになっています。
大会から一夜明けた12月22日(月)の午前中に、たくろうを直撃。激闘を終えたばかりの2人へのインタビューを世界最速でお届けします!

きむらが優勝後の早朝4時半に涙を流した電話とは…?
――優勝おめでとうございます! まずは一夜明けて、いまの心境を教えてください。
きむら 本当に一夜にしてすべて変わったというか。こんなにも忙しかったことないんで、ありがたすぎますね。
赤木 テレビも、入ったことのないテレビ局にいっぱい行けて。「テレビだあー!」っていう。
きむら テレビ朝日さん、日本テレビさん、フジテレビさん、TBSさん。「芸能人だあー」にも、いっぱい会いました。
――まだ大会が終わって13時間ほどしか経っていませんが、もう民放を1周しましたか?
赤木 1周っていうか、もう2周しましたよね。
きむら 2周してます。テレビ出演してから、他の局に行って、昼にもう1回戻ってきて……とかをやっていますね。
――では、喜びを噛みしめる時間はまだありませんか?
きむら まだないですね。なんか優勝の実感がないとかじゃなくて、「いま何が起きてるか」がまったくわかってないですね。
赤木 1回寝ないとね。8時間は……。
きむら ははは(笑)。ゆっくりね。あったかいお風呂に入ってね。

――お祝いのメッセージがたくさん届いていると思いますが、うれしかったものは?
きむら 実はLINEのメッセージもめちゃくちゃ来てるんですけど、見れてなくて。SNSの反応もまったく見れてなくて、さっきちらっと聞いたら、企業の方がいろいろ反応してくれてるって。
――すごいことになっていますよ。ネタに登場したGoogle、LINEヤフー、JTB、トヨタ自動車など。
きむら エグいやん!
赤木 ネタでいっぱい出すから(笑)。
きむら これは、完全にCMをお待ちしております。
赤木 いやいや(笑)。
――優勝発表の瞬間、おふたりは泣きませんでした。大会後はどうでしたか。
赤木 僕は、まだ一滴も涙は流していないですね。きむらさんは流しました?
きむら 実は流しました。4時半ぐらいかな。母ちゃんに電話して。そのとき、母ちゃんにバレへんように泣いています。たぶん気づかれてはいないんですけど。

――どんな会話だったんですか?
きむら ちゃんとええことを言われて、普通にグッときたんですよね。僕、今年36になるんですけど、「生まれて来てくれてありがとう」みたいな。しっかりドストレートを食らったら、ちゃんとバレへんように泣いてまいましたね。
赤木 真っ直ぐを食らったんですね。
きむら そう。ドストレートがいちばん食らうわ。
赤木 親子愛や。素晴らしい。
きむら それは嬉しかったですね。
赤木「みんながウケたから、僕らはあったかいときに出られた」
――改めて決勝での勝因、勝負の分かれ目はどんなところにあったと思いますか。
きむら ファーストラウンドでエバースが良すぎて、「もう手をつけられへん」ってなって、逆に気楽にできたんですよね。ウケ方もめちゃくちゃいいウケ方だったもんね。
赤木 ネタの内容もいいし。“大優勝候補”で、とてつもない点数を出してたんで、もう付け入る隙がないというか。「これ、どうやったって勝てねえぞ」という感覚があったんで。
きむら 逆に開き直ってできた。勝つとかより、「自分たちらしくやろう」というのはありましたね。
赤木 エバースの佐々木(隆史)は打ち上げの配信が終わってカメラが止まったあとに、「僕ら1本目は勝ってましたからね」って言ってきましたよ(笑)。
きむら あ、そうなん!
赤木 「1本目、勝ってましたよ!」って。佐々木やったなあ、あれ……。
きむら ははは(笑)。
――自分たちのネタ中はどんな感覚でしたか?
きむら 僕は、めっちゃ楽しくやってましたね。優勝も意識せず、「みんなに見てほしい」っていうだけ。いつも劇場でやっているネタを全国の皆さんに見てもらえて「楽しいなぁ」と思っていました。
赤木 僕もネタをやっているときは、いい感じでしたけど。でも、トップバッターのヤーレンズさんからめっちゃウケてて。
きむら 大会自体がすごかったね。
赤木 (2番手の)めぞんも、むちゃくちゃウケてたんですよ。後半に理想的な盛り上がり方をしてて。だから、全員で会場をいい空気にしてたんやろうね。みんながウケたから、僕らはあったかいときに出られた。あったかいときのほうが、やっぱり強いから。安心してやれた。
きむら それはありますね。

――7番手という順番も理想的でしたか?
きむら ほんまは5番手、6番手ぐらいで出たいと思ってたんです。なんせ待ち時間が長くて……。赤木が「これ以上、うしろやったら集中が切れます」って宣言した途端に呼ばれたんで。
赤木 完全に集中が切れそうだった。待ってる間に豪快キャプテンのギャンゴリ(山下ギャンブルゴリラ)さんとべーやんさんと3人でいて、ギャンゴリさんが「ネタ合わせ、ちょっと1回やっとこうか」って言わはったんですよ。そのときに僕、頭がボーっとしてたから「あ、はいはい」って返事して。
きむら アカンよ。豪快キャプテンのネタ合わせに入ろうとしてるやん。
赤木 僕がギャンゴリさんとネタ合わせしようとしちゃって……。ギャンゴリさんに「お前のわけないやろ」って、めっちゃ低い声で言われて……。
きむら ははは(笑)。腹立つボケやったんやろな。
赤木 ボケのつもりじゃなかったんですけどね(笑)。

たくろうのトリセツ1行目は「使ってみないとわかりません」
――たくろうを知る人が一気に増えましたが、自分たちのどんなところをアピールしたいですか。
きむら やっぱりM-1で知っていただいた漫才の面白さや、2人にしか出されへん空気感とか、そんなのがどんどん広がっていったらと思いますね。
赤木 僕は、もう漫才ですね。僕にできることは漫才だけなんで。もちろんいろいろ頑張りたいですけど、やっぱ漫才。舞台を観てほしいです。
――テレビや舞台で今後、具体的にやってみたいことはありますか?
きむら 僕は、赤木と出会ってから漫才を好きになりましたけど、もともとはテレビっ子やったんで、バラエティにも出てみたいですね。番組で言うと、「探偵!ナイトスクープ」。同期のバッテリィズのエースとカベポスターの永見(大吾)が出てるんで、層が厚くて厳しいとは思いますけど、大好きなんでね。
赤木 僕はやっぱり野球が好きなんで。巨人ファンですし、ドラフトで指名していただければ……。
一同 (笑)
きむら それはチャンピオンとして初ちゃうか。M-1チャンピオン後、プロ野球入りは。
赤木 育成契約でもいいので、指名をお待ちしておりますという感じですね。
きむら 巨人以外から来た場合はどうするの?
赤木 いや、12球団、問いません。プロ野球選手を目指す。あとゲームが大好きなんで、どんなゲームの仕事でもします。ワンピースも大好き……。
きむら ははは(笑)。

――これから一緒に仕事する人たちに向けて、たくろうのトリセツを書くとしたら、どんな内容になりますか?
赤木 これはもうね……「使ってみないとわかりません」(笑)。
きむら 本当にそうちゃう?
赤木 トリセツといっても未知数。テレビのロケは昔、大阪でちょろっとやったくらいなんで。愛媛の朝の情報番組(「ちかくナルナル なるちか!」)は、6年ぐらいやらせていただいてますけど。
きむら “どバラエティ”は出たことがないので。使ってみないとわからないのは、本当にそうです。
赤木 なんでも頑張ってやります!
――それでは最後に、全国のたくろうファンに向けてメッセージをお願いします!
きむら とにかく僕らは劇場に育てていただいたし、ずっと応援してくれてた方に感謝を忘れずにやっていきたいと思います。応援してくれてた関係者、スタッフさん、芸人仲間、そういう人らと、もっともっと楽しい仕事をいっぱいできたらと思います。
赤木 本当にファンの方に支えられて……。紆余曲折がありましたけど、ずっと応援してくれてる方がいらっしゃった。本当にその人たちに感謝ですね。
きむら そうね。
赤木 (ファンが)ゼロになってたら、もう事切れてたかもしれない。もうダメだって。でも、ずっと応援してくれる方が、ほんまに少数ですよ。いてくださったんでね。その人らに本当に感謝ですね。
――これからファンになる人にも一言いただけますか!
きむら これからファンになる方には、「ファンになってみないとわからないよ」って。俺らの良さなんてね(笑)。
赤木 そうですね。もう気長に見てほしい。「こいつ、ほんと何してんだ」って思う瞬間もあると思う。
きむら 見るときの機嫌によるかもしれないですしね。余裕のあるときはめっちゃ面白いけど、余裕のないときに見たら「めっちゃイヤ」ってなるかもしれないんで。
赤木 「ダラダラ喋るなよ」とかね。やっぱ余裕あるときでないと。
きむら 心豊かなときに見ていただきたい。余裕を持って、たくろうを見てください!

取材・文 前多勇太
