“笑いの女王”を決める『女芸人No.1決定戦 THE W 2023』の決勝が、12月9日(土)に日本テレビ系で生放送されます。過去最多となるエントリー総数863組の中から決勝に残ったのは12組。今回はその中から、初代女王であり、3年ぶり4回目のファイナリストとなったゆりやんレトリィバァのインタビューをお届けします!
今年で第7回を迎え、すっかりこの時期の恒例となった『THE W』。プロ・アマ問わず、芸歴や芸風、人数などの制限はいっさいなしに、純粋にネタの面白さだけで、女性芸人日本一の称号と優勝賞金1,000万円をかけて争う“異種格闘技戦”です。女性芸人全盛の時代と言われているいまだからこそ、そのハイレベルな戦いに注目度が年々増しています。
今年のファイナリストは、あぁ~しらき、エルフ(荒川、はる)、スパイク(松浦志穂、小川暖奈)、ハイツ友の会(清水香奈芽、西野)、はるかぜに告ぐ(一色といろ、とんず)、紅しょうが(熊元プロレス、稲田美紀)、変ホ長調(彼方さとみ、小田ひとみ)、ぼる塾(酒寄希望、きりやまはるか、あんり、田辺智加)、梵天(薪子、しおたむ)、まいあんつ、やす子、ゆりやんレトリィバァの12組。
ゆりやんには、『THE W』のことだけでなく、海外挑戦のことや自身の武器や魅力についてたっぷりと語ってもらいました。
10年後には「宇宙に行きたい」!?
――まずは決勝進出おめでとうございます。いまのお気持ちから聞かせてください。
(インタビュー時点で)もうあと1週間ぐらいですよね? 優勝したいですね〜。
――3年ぶり4回目のファイナリストです。近年は大会に出ておらず、久しぶりの出場となりましたが、何かきっかけがあったんですか?
来年10月にアメリカに引っ越すので、その前に大会に出ておきたいなと思いました。あと、アメリカに行ったら向こうに住まないといけないので、活動資金としても賞金がほしくて……。ネットで「もう出んでええやろ」「ほかの人にも夢を与えてくれ」とか言っている人もいるんですけど、「いや、私も新たな夢のためにやりまっせ!」と思っています。
――海外挑戦のための第一歩でもあるんですね。最近は日本国内で、外国人客も訪れるスタンダップコメディーが見られるバーのステージに立つこともあるそうですが、すでに世界に目を向けているんですか?
そうですね。海外の方に向けて、ノンバーバル(非言語)とか「日本人ならでは」とかではなくて、全部英語でネタができる芸人になりたくて。もちろん経験不足ですし、スタンダップコメディーも勉強しないといけないんですけど、それにとらわれず、「ゆりやんレトリィバァ」として、ネタができるようになりたいです。
――最近は体を鍛えていて、11月にはボディコンテスト「マッスルゲート東京大会」にも出場しました。
「どうなりたいの?」とか「何を目標にしているんですか?」とか言われるんですけど、どうなりたいも、こうなりたいも、「自分がやりたいことをやっているだけです!」という感じで、そこに向かっているだけですね。
――そんななか、今回、久しぶりに出場した「THE W」はいかがですか?
2021年に『R-1グランプリ』で優勝させてもらってから予選には出ていないので、久しぶりの賞レースなんですけど、賞レースが大好きなんで「この感じ、めっちゃ嬉しい!」と思っています。
――今回の「THE W」出場も海外挑戦もそうですが、ゆりやんさんのなかで「常にゾクゾクしたい」みたいな気持ちがあるんですか?
めっちゃありますね。現状維持がイヤというか、現状維持がヒマというか……。ヒマって言ったらあれですけど(笑)、「もっと楽しいことしたいな」と。いまも楽しいですけど、そこで満足したくなくて。もっといろんなことをやりたいなと思っています。
――「楽しく生きたい」という先に海外への挑戦があったんですね。
来年、アメリカへ行くんですけど、10年後くらいにはアメリカにも飽きて「宇宙に行きたい」とか思っていそうな気がします。
「やってみなわからへんやん」
――(笑)。ご自身のネタの強みや魅力はどんなところだと思いますか?
いわゆる「こういうのが面白いですよね」とか「こういうネタってありますよね」とかじゃなくて、自分の感情からこみ上げてくるものをネタにすることが多くて。それはたぶん、私にしかできないこと。
「この手法が」という意味ではなくて、「この感情をネタにするのは私にしかできない」とか「この体験があったから感じたこと」とか、そういうのをコントにしたり、ボケにしたりするのが好きです。そうじゃないとやってられないというか(笑)。「腹立つねん!」って言うだけじゃどうにもならないけど、それをコントにして昇華する感じです。
――感情を乗せたほうが、気持ちの体重が乗るということなんですかね。
まさにそうです。あとは、ネタを作るのが好きなんで、あまりネタを作るのが苦しくないことも、自分の強みではあるかなと思います。
――では、ご自身の武器はなんでしょう?
「自分の中で掲げたことを絶対に手に入れてみせるんだ」という、そのスタンスですかね。それは揺るがない部分があって。小学3年生のとき、みんな鉄棒ができるなか、私だけできなかったんですよ。でも、毎日練習したらできるようになって。そのときに「人間ってできないことはないんだ」って感じたんですよね。
それは前回りとか、めっちゃ簡単な技だったんですけど、「もしかしたら、逆上がりもできるんじゃないか」と思って、やったことないのに挑戦したら初回に1回だけできたんです。そこからは「『できる』と信じたらできるし、練習をすればできないことはないんだ」と思うようになって……。いまも「信じる力」「思い込む力」は、誰よりも強いと思っています。
たとえば、私が「大谷翔平さんと結婚します」とか「ハリウッドでアカデミー賞獲ります」とか言っても、みんな「無理無理!」って言うじゃないですか。そうやって「無理やろ」から入る人が多いかもしれないですけど、「(自分は)無理やろ」からは入れないというか。「やってみなわからへんやん」という感じなんですよね。だから「まずやってみる」という気持ちは強いです。
後輩の子をいっぱい呼んで番組をやりたい
――落ち込むこともあると思うんですが、どうやって切り替えているんですか?
それをバネにしたいと思っています。もちろん落ち込んで泣くこともありましたけど、「悔しい……じゃあ頑張ろう」となるんですよね。芸歴1、2年目のとき、大きな番組に出させてもらったんですけど、(出演者が)全員タクシーチケットをもらって帰るなか、私だけもらえなかったんです。マネージャーさんと2人で駅まで歩いて帰っているときに「絶対にタクチケもらえるようになりたい!」と思いました。
いまでも、そのスタジオに行くと、当時、「頑張ろう」と言っていたのを思い出しますね。賞レースもそうですけど、「イヤだ」「悔しい」と思ったことを、そこで終わらせたくなくて、「行ったる!」という気持ちでいます。
――そうした負けん気の強さの原点ってなんですか?
中学校のとき、友だちがいなくて、仲間外れにされたんです。当時、学校を休むこともできたし、部活を辞めることもできたんですけど、「私の人生、その人たちの思うツボにされたくない」という思いがあって……。そのときの諦めたくない、負けたくない、見返したいっていう気持ちが根底にあるのかもしれないです。
――貴重なお話、ありがとうございます。「THE W」で優勝したら、やってみたいことはありますか?
私がMCの番組をやらせていただけたら嬉しいです。1回やらせてもらったときに、大阪のスタッフさんから「お笑いの教科書、捨てたん?」って言われたんですよ。
――(笑)
私、(芸人になって)10年間、みなさんにめっちゃ助けてもらってきたんです。いままでほんまに自分のことばかり考えて生きてきたんですけど、最近は、後輩の子に、私がやってもらったみたいに出シロを増やしてあげたいと思って。話を振ったり、絡んだりするんですけど、やり方がわからなさすぎて、「自分が目立とうとしてる」とか「後輩潰しにいってる」とか言われて、めっちゃ不本意やし、申し訳ないです(笑)。
その番組では、いままで先輩に助けてもらったぶん、後輩の子をいっぱい呼んで、「私みたいなタイプでもいいんですよ」って(感じてもらいたい)。たぶん、「こういう立ち振る舞いしないといけないのかな」とか「こうじゃないとダメなのかな」とか苦しんでいる子がいると思うんで、ぜんぜん気にせず、そうじゃなくていいっていう。「自分らしくやりませんか?」みたいな。
――出演者の個性が光るような番組ですね。
無理に力むんじゃなくて、ゆったりした感じの番組をやりたいですね。とにかく毎回、無茶苦茶で、テーマもなくていいやって……勝手すぎる。「YouTubeでやっとけ」って言われそう(笑)。
――(笑)。最後に「THE W」への意気込みをお願いします。
優勝します!
取材・文・写真:浜瀬将樹
『THE W 2023』公式サイトはこちらから。