京都国際映画祭アンバサダーのサヘル・ローズさんが語る「化学反応が起こる映画祭であってほしい」

第9回を迎える「京都国際映画祭2022」が10月15日(土)、16日(日)に、今年もリアルとオンラインのハイブリッドで開かれます。期間中は京都各所の会場で、映画上映だけでなく、アート作品の展覧やSDGsイベントなどを開催。今回は、これまで映画祭のオープニングセレモニーを実施してきた西本願寺で、映画祭の見どころや京都の魅力を、アンバサダーに就任した俳優のサヘル・ローズさんに聞きました。

出典: FANY マガジン
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日本映画の素晴らしさを海外にアピールしたい

――「京都国際映画祭2022」のアンバサダーに就任しましたが、自分の役割としてイメージしていることはありますか?

私自身がワクワクすることが重要だと思っています。楽しかったことをそのままお伝えできるような、立体的なアンバサダーをイメージしています。同時に、“私だからこそ発信できること”を発信して、「サヘルがアンバサダーに選ばれたのは、こういう理由だったんだな」と思ってもらえるような活動がしたいですね。

――サヘルさんだからこそ発信できることとは?

グローバルな視点と、京都の魅力を発信することです。個人的には、国際的な社会で、日本の映画の立ち位置をもっと強くしていくべきだと感じています。“日本映画発祥の地”である京都で、もっと世界に堂々とアピールしていきたいですね。
日本映画は素晴らしいものがたくさんあるにもかかわらず、世界にそれが発信できているかというと、正直、まだ十分ではありません。日本映画を未来へ繋げていくためには、やっぱり「京都国際映画祭」は非常に重要で、作品の誘致だけではなく、いろんな国々の方々が京都に目を向けることによって、日本映画をつくる人たちにとっても「もっと、こういうものをつくっていかなければ」という、いい刺激であるべきだと思うんです。
京都という場所で生み出された視点を、海外から来た外の方々にどう見せていくか――そうしたところから“化学反応”が起きる映画祭であってほしい、と思っています。

出典: FANY マガジン
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若き才能が世界へ羽ばたくスタートライン

――これからの京都国際映画祭で、取り組んでもらいたいことは?

短編映画ですね。短編映画って、世界ではすごく認められているんですよ。長編だと薄まってしまうメッセージでも、短編ならば伝わりやすい。だから、日本の短編映画やインディーズ映画の立ち位置を、こうした映画祭で強めていけたら、と思っています。映画祭は、短編映画やインディーズ映画をつくっている人たちが堂々と発信できる場所ですし、発信することで、いわば名刺代わりにもなります。
また「京都国際映画祭」は、若き才能を後押ししようとしているのがすごく感じられます。改めて、アンバサダーをやらせてもらえるのは光栄で、私の存在がプラスになれたらと思います。映画をつくっている方々、アーティストの方々が、胸を張って堂々と世界に羽ばたくきっかけになり、スタートラインになる場所だと信じています。

――この映画祭には、「映画もアートもその他もぜんぶ」というキャッチフレーズがついていますが、そのなかでも見どころは?

この映画祭は、本当に「丸ごと無添加の100%」なんですよね。映画、アート、その他もすべて含まれて、表現丸ごと100%が見どころです。いま世界で起きている課題や問題点に、映画やアート、歌、ダンス、SDGsなどいろいろな表現の方法で、取り組んでくださっている。この視点は、ほかの映画祭にはありません。だから、見どころは本当に「100%」になると思うんですよね。この期間でしか見られない、その瞬間を現地で皆さんの目に、脳裏に焼き付けてもらいたいです。

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――俳優としても活躍しているサヘルさんにとって「映画」とはどういう存在でしょうか。

映画は私の心の置き場です。いまの時代、みんな必死に生きていて、必死になればなるほど心にはいろんなものがこびりついてしまって、実は素直に生きることが困難になっちゃうんですよね。だけど、心を動かしたいとき、映画を見ると映画がその世界に引っ張り込んでくれるんです。
たとえば、自分がひとりになりたい、泣きたいというときに、その気分に合う映画ってあるじゃないですか。だから、映画って人の心をすごく動かしてくれる、必要な要素だと思っていて……。さらには、自分にこんな感情があったんだ、と気づかせてくれることもあります。映画は私にとってのメンタルケアです。

大人になって知った京都の“静けさ”と“奥行き”

――サヘルさんは、「京都」にも強い思い入れがあると聞きました。

京都は、小学生のころに修学旅行で初めて来たときの印象が強くて、そのときは金閣寺など、いわゆる定番スポットを巡ったのを覚えています。しかし、京都を知ったいまでは “静けさ”や“奥行き”に魅力を感じています。少し街を歩けば、本当に歴史の中を散歩して迷い込んだかのような気持ちになります。それが、これまでに私が見つけられなかった京都の新しい魅力ですね。

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今日も京都の街を巡って、いつもは色鮮やかなのになぜかセピア色のように感じて、それがすごく感動的で、「こんなにワクワクできるんだ」と子どもに戻ったような自分がいました。古き良きものを残しながら、現代の方々に発信しているのが素晴らしいなと思います。

――特にお気に入りのスポットはありますか?

私は東寺が好きで、ポイントカードがあればいいなと思うくらい通っているんですよ。ライトアップも美しいですし、桜の時期も素敵だし、ひたすらじっと座って眺めています。お寺に入ると、不思議と入った瞬間に音が一瞬止まるんです。道路がそばにあるのに、シン……としていて、そこで自分と向き合う時間が持てるのが好きです。

それに、街の人もすごく温かい方が多いです。あるとき、冬の京都に遊びに来たことがあって、あまりにも寒くて昔ながらの街の銭湯に立ち寄ったんです。すると、おばさんが「お姉ちゃん、どこから来たの? いい体してるねぇ〜」って(笑)。すごく気さくなんですよ。そういう京都の人の温かさはとても好きですね。
私はいろいろなところを旅させてもらうんですが、心に残るのは“人”とかかわることができた場所なんです。そういう意味でも、京都は、魅力を話し出すと止まらないほど大好きな街です。

出典: FANY マガジン
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