『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の年末年始の恒例企画といえば『おもしろ荘』。今年の番組のエキシビジョンコーナーで、ショートネタを披露して注目された芸人のサクは、じつは2700のツネの弟なんです! 2人で取材を受けるのは初めてというツネとサクに、兄弟だからこその深~い話を聞いてきました。
すっかり若手芸人の登竜門となった『おもしろ荘』。今年も数多くの個性的な若手芸人たちが出演し、年始早々から話題となりました。そんななか、エキシビジョンコーナーにピンで登場したサクという芸人。面長でシャープな顔の輪郭を眺めていると、「どこかで見たことがある気が……」という印象を持った人もいるのではないでしょうか?
サクとツネは8歳離れている年の差兄弟ですが、言われてみれば顔もそっくり。ただし、芸風は大きく異なります。兄のあとを追うように芸の道に進んだ弟。そんな弟を兄はどう見つめたのか。ネタの書けない兄とネタを書く弟。一風変わった芸人兄弟の絆を紐解くインタビューです。
ツネ「兄弟っていうものに思い入れが強い」
――まずは2人の兄弟仲を聞きたいんですが、連絡はまめに取ったりするんですか?
ツネ 連絡はちょくちょく取るほうですね。うちに遊びに来たりもしますし、子どもたちはみんなサクのこと大好きなので、むっちゃ遊んでもらってます。
サク 遊びに行って子守りしたりすると、「パパにそっくり」とむっちゃ言われる。鼻のほじり方も一緒やと(笑)。でも、ふつうに仕事の相談もします。コンビを組んでいたとき、「2700」を振りにしたネタをやっていたこともあるし、番組に出るとなって「平場の感じをどうしたらいい?」とか、そういうときに相談したりします……が、相談相手として合っているかどうかはわからないんですけど(笑)。
ツネ 平場はね……ほんとダメなんで(笑)。でもアドバイスは一応、するんです。サクはこういう性格で相方はこんなだから、こういう出方とかは? と。ただ、最後には「合ってるかはわからんけどな」と入れます。正直、自信はないので。
でも、基本はちゃんと“お兄ちゃん”やってます! じつは僕が小6、サクが3歳のときに親が離婚していまして。姉、僕、妹、サクの4人きょうだいなんですけど、僕とサクは別々に暮らしていたのもあって、逆に兄弟っていうものに思い入れが強いんですよね。
――ツネさんの背中を追って、サクさんも芸人を目指したんですか?
サク 僕が中学に入るころにお笑いブームがあって、お笑いが好きだったのが半分。それと、僕と兄貴が8歳離れていて、僕が中2(ツネは22歳)のときに、兄貴がNSC(吉本総合芸能学院)に入ったんですよ。で、友だちと一緒に兄貴のNSCの公演を見に行って、「面白いし、めっちゃカッコええやん!」となったのが半分。
それで高校卒業してから芸人になって。ちょうど僕がNSCに入ったタイミングで、兄貴は大阪から東京に拠点を移したので、現場で絡むということはなかったんですけど。
僕の知っているお兄ちゃんは「カッコいいし、輝いてて面白い」というイメージ。それで、芸人になってから先輩とかにお兄ちゃんがどういう芸人かを聞いてまわったんですが……兄貴の先輩方は「ツネはあいつ、アホや」と(笑)。兄貴より後輩に聞くと、「ツネさん、めちゃくちゃいい人。あんないい人、見たことない」と。誰一人として「面白い」という人がいなかった(笑)。
ツネ ……ん? おかしいな?
サク 逆に言うと、相方選びがめちゃくちゃ上手いんだなと思いました。
ツネ それはあるかもしれませんね。
サクが芸人になると言ったとき「正直、うれしかった」
――サクさんは昨年11月にコンビ「まぼろしのアレ」を解散して、今回は、ピン芸人として「おもしろ荘」に出演しました。
サク そうなんです。もともとはコンビで出演することでエントリーしていたんですけど、2次選考の時点で解散が決まって辞退しまして。別でショートネタのエキシビジョンコーナーでもオーディションがあると聞いたので、そちらに応募して受かって出演したんですけど。
――サクさんの『おもしろ荘』出演をきっかけに、兄としてインタビューを受けるのはどんな心境ですか。
ツネ これは、めちゃくちゃうれしいことで。サクがお笑いを頑張って、それで僕まで呼ばれるっていうのは、すごくうれしい。ちょっとずつでも登ってきている感じがする。
――ツネさんは、サクさんが芸人になると言ったとき、どう感じましたか?
ツネ 最初はめちゃくちゃビックリしたんですけど、正直、うれしかったですね。確実に僕の影響を受けているんだな、というのを感じたので。兄弟でお笑いやっている方もいらっしゃる。それを見ていて、いいなぁとも思っていたので。そんな弟が背中を追ってきてくれている気がして、うれしいっていうのがありましたね。
――もともと家族みんながお笑い好きだったんですか?
ツネ お姉ちゃんが、めちゃくちゃお笑いが好きだったんですよ。(心斎橋筋)2丁目劇場(1999年に閉館した吉本若手芸人の劇場)とかに通っていたような感じで。
サク その影響が兄貴に降りてきて、兄貴の影響が僕まで降りてきてって感じです。だから僕としては、ずっと追いかける存在というか。僕が高3のときに、KOC(キングオブコント)の第1回の決勝に大穴的に2700が進出したんです。ちょうどそのとき、僕はバイトしていて、おかんから「お兄ちゃんがテレビ出てる!」というのを聞いて……。僕はまだ芸人も始めていないのに、悔しさでイラっとした記憶があって、「もう、そんな先に行ったか」という感じでしたね。
ツネ 最初に出たのが2008年、次に出たのが3年後の2011年なんです。
サク そのタイミングで、『オールザッツ漫才』(MBS)という関西の年末の恒例番組で、当時、トリオを組んでいた僕と2700として出演していたお兄ちゃんと初めて共演を果たしました。ただ、絡みはなかったんですけど……。
がっつり絡んだのは、『にちようチャップリン』(テレビ東京系)が初めてでしたね。僕のコンビが、2700とのコラボという形で一緒にネタをやりました。そうやって兄貴と一緒にテレビで絡めるのは楽しかったし、うれしかったですね。ただ、「平場で絡むとなると、どんなふうになるんかな」という気持ちもあるので、今後はぜひそういうのを経験してみたいな、というのはあります。
「ツネの弟」として見られるプレッシャー
――お互いにここがスゴいな、または、ここがヘンだなというところはありますか?
ツネ ネタが書ける、というのはスゴいと思いますし、『にちようチャップリン』のときのコラボネタもサクが作ってくれた。僕、マジでネタ書けないので。
サク でも兄貴は、パフィーマンスとかめちゃくちゃキレがありますし、なんでも器用にやるっていうイメージがあって、(相方の)八十島さんの発注通りに動ける。1ミリのズレもなく。そこはスゴいですよね。
逆にヘンだなというところは……兄貴がアホやという話は、ほかの芸人から聞いていたんですけど、目の当たりにしたことはなかったんですよ。ところが、2700がブレイクしていた時期に東京に遊びに行くことがあって、「家に泊まってき」と言ってくれたので泊まったんです。兄弟水入らずで飲もうや、と。そこで、「お笑いはトークや。だから、いろんなテレビとかDVDとかを見て、トークのテンポや間を勉強したほうがいい」と熱弁を振るう兄貴の姿を見て、「売れるってこういうことなんや」と思いました。「明日、トーク番組の収録があるから、朝早く起きてトークの勉強する」と言っていて、めっちゃ勤勉やなと感心して――。
で、次の日の朝、たしかに兄貴はノート開いてペンを片手にトーク番組のDVDを見ていたんです! でも、なんとそれが2倍速だった。「いや、テンポと間を勉強するのに早回ししたらダメやん!」と(笑)。初めて「兄貴のアホな面ってこれか!」と思った瞬間でしたね。
――同じ芸人として、お兄さんを超えたいと考えることはありますか。
サク 兄貴の同期の先輩とか可愛がってくれて、よく一緒にゴハンとか連れて行ってもらったりするんですが、とにかく「ツネの弟」ということで覚えてもらいやすい。どの人に挨拶するにしても覚えてもらいやすいので、そこはよかったんですけど。でも、やっぱりプレッシャーも多少ありますね。遺伝的なものかわからないんですけど、僕も「動いて面白い」と思われることが多かった。それもネタとして採り入れたりしてたんですけど、「何をやってもツネに見える」と言われたりして。
――顔も似てますしね。
サク そこ、ちょっと言わせてください! 顔が似てるのも、兄貴が“整形”してるからなんですよ。
ツネ もともとはそんなに似てないんですよ。僕はもともと一重まぶたで、サクは天然の二重。
サク ウワサですけど、整形外科医に僕の写真を持って行って、「これにしてください」って言ったと(笑)。
ツネ いや、持って行くか! 散髪屋じゃないんやから!
サク「兄として背中を見せ続けてほしい」
――今後、お互いがどんな活躍をしていくと予想していますか?
ツネ どうなっていくんやろ……いまはコンビを解散したところなので、まだ見えにくいとは思うんですけど、でも、漫才は好きなんやろうなと見ていて思いますけどね。だから、ピンというよりは、コンビとかなんやろうなと。
サク 兄貴については、まずはアメリカに向けて発信していくということなので、頑張ってほしいなと思います。海外になると、ライバルも多いとは思いますけど。
――ライブやテレビなどで、2人で兄弟漫才を披露するなんて日も来るのでしょうか?
サク できるとは思いますけど、それこそ喋らせへんほうがいいんかな、とか(笑)。ただ、2700で漫才のイメージがないぶん、逆にめっちゃ喋らせるっていう手もアリかなとか、いろいろ考えてしまいますね。でも、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)のような番組で「兄弟芸人」のようなくくりがあったときに、兄貴と一緒に出演できたらいいなと思ってます。
――最後に、お互いにメッセージをお願いします!
ツネ いったん芸人をやめて、戻ってきて、頑張っているので、これからテレビとかにいろいろ出てほしいなと思いますね。逆に僕が呼んでもらえる機会を作ってほしいです!
サク 変わらず背中は見せ続けてほしいなと思いますし、やっぱり行動力とか見習わなあかん“人間性のすごさ”みたいなのがあるので。今後も、馬車馬のように行動していってほしいと思います。
ツネ ……すでに腰が痛かったりするけど……がんばります(笑)。
2023年1月14日(土)19:45よりヨシモト∞ドームⅠにて『大爆笑2700ライブ』が開催されます。
ライブ概要
大爆笑2700ライブ
公演日時:2023年1月14日(土)開場19:30|開演19:45|終演20:45
場所:ヨシモト∞ドームⅠ
出演:2700
ゲスト:相席スタート
チケット:FANYチケットにて発売中
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