10月13日(金)~10月15日(日)の3日間、よしもと祇園花月をはじめとした京都市内の各会場にて「京都国際映画祭2023」が開催されています。今年の京都国際映画祭では、当映画祭の名誉実行委員長を長年務められた中島貞夫監督の追悼上映をはじめ、映画上映や舞台挨拶、アート作品の展示やオンライン企画なども同時に展開し、映画もアートもその他も全部お楽しみいただけます。
13日(金)には、よしもと祇園花月で中島監督の『日本暗殺秘録』が上映され、終映後にプロデューサー/ディレクターの立川直樹さん、映画監督の林海象さん、ミュージシャンで『京まちなか映画祭』実行委員長のバンヒロシさんがアフタートークを行いました。
今年6月に亡くなった日本を代表する映画監督・中島貞夫さん。京都国際映画祭では第1回から実行委員長を務め、オープニングセレモニーでの「よーい、スタート!」という高らかな開会宣言でもおなじみだった中島監督を偲び、その功績を称えるべく、生前に自身で好きな作品として挙げていたタイトルを中心に追悼上映を行います。本作は、桜田門外の変から二・二六事件まで、日本の“暗殺史”に焦点を当てたオムニバス巨編。主演の千葉真一をはじめ、田宮二郎、藤純子、若山富三郎、高倉健、鶴田浩二、片岡千恵蔵ら主役級のスター俳優が勢揃いし、事件をとりまく人間ドラマを生々しく活写しました。
「この映画館で観てよかった」
142分という長さを感じさせない、濃密かつエネルギッシュな映画世界に浸った余韻もそのままに、立川さん、林監督、バンさんが舞台へ登場。今回、初めて本作を見たという林監督は、開口一番「この映画館(よしもと祇園花月)で観てよかった。感動した。まさに中島監督と(共同で脚本を手掛けた)笠原(和夫)さんの本領発揮」と大絶賛。DVDで何度も観たというバンさんも「迫力が違う」と声を弾ませます。立川さんによると、制作時、中島監督はまだ35歳だったそうで、「それでこの完成度の高さ。メッセージのすごさ、カメラワークや俳優の演技の付け方…。これが映画なんだという気がした」との言葉に、林監督、バンさんも大きくうなずきます。
往年の大スターたちの演技も素晴らしく、林監督が「みんな本当にうまくてびっくりする。藤純子さんが本当に美しい。中島美学の集大成」と言えば、バンさんも「俳優さんの目の演技から本気度が伝わる」。キャストの華やかさゆえ王道の大作に見えるが、実はかなり実験的な作品である、という点についても3人の意見が一致。オムニバス映画なのに均等割りになっていないなど、構成も実に個性的で、中島監督にしか作り得なかった貴重な一作となっていると語りました。
中島監督との交流秘話もたっぷり
それぞれ中島監督との交流秘話も披露。林監督は中島監督から聞いたという深作欣二監督とのエピソードに触れ、「中島さんの映画と深作さんの京都へいらっしゃってからの映画はものすごく相似性がある。時間があれば見比べてみて」。バンさんは、中島監督がかつて近畿放送(KBS京都)で映画番組の司会をしていたため、当初は評論家だと思っていたとか。後に映画監督であることを知り、講演会でサインをもらった時に「映画を忘れないでね」という言葉をかけてもらったことが今も心に残っていると明かしました。
ほかにも、時代劇から現代劇への転身や音楽へのこだわりなど、多岐にわたる話題が次々と飛び出し、大盛り上がりのうちにトークは終了。終演後は、ロビーに展示された公開当時のポスターや台本、中島監督直筆の演出覚書など貴重な資料にファンの人だかりができていました。
会場のよしもと祇園花月では、ニューヨークを拠点に活動する現代アーティスト・KAORUKOがデザインした器や、芸人とアーティストの二足のわらじで活動するキシモトマイによる絵画など、アート作品も同時展示。「映画もアートもその他もぜんぶ」のキャッチフレーズにふさわしい空間を作り出していました。
「京都国際映画祭」は2014年より「京都映画祭」から引き継いだ伝統と志を重んじ、「映画もアートもその他もぜんぶ」をテーマに「新しいモノ・コト」にも積極的に取り組んできました。第7回からは柔軟に形を変えてオンラインとリアルの良さを併せもつ、ハイブリッドの映画祭として開催しています。
『京都国際映画祭2023~映画もアートもその他もぜんぶ~』
開催期間:10月13日(金)~15日(日)
場所:よしもと祇園花月、京都市京セラ美術館、京都国際マンガミュージアム、おもちゃ映画ミュージアム、ほか
『京都国際映画祭2023~映画もアートもその他もぜんぶ~』HPはコチラ