4月15日(土)、「島ぜんぶでお~きな祭 第15回沖縄国際映画祭」期間中に、沖縄市のミュージックタウン音市場で「歌い継ぐ 沖縄の音楽 記憶と記録」が行われました。
このイベントは、沖縄本土復帰50年の沖縄を現代の視点でカタログ化するプロジェクトから生まれたコンピレーションCD「沖縄の音楽 記憶と記録 コンプリート CD BOX」の発売を記念したスペシャルライブ。沖縄を中心に活躍するアーティストたちが、沖縄で古くから歌い継がれる民謡の数々を披露しました。
若手のホープ4人からスタート
17時のスタートと同時に会場が暗転。すると、開演に先立って「今帰仁宮古ノ子」の音源が流れます。まず舞台に現れたのは、若手のホープである伊藤幸太、宜寿次光、村吉茜、松原忠之の4名。客席から温かい手拍子と指笛が響く中、それぞれが美しく三線の音を響かせながら琉球民謡「ナークニー」を力強く歌い上げました。
続いて、この4名がソロで順に民謡を披露します。伊藤の「鷲ぬ島節」、宜寿次の「時代の流れ」、村吉は「白雲節」、そして宮古出身の松原は宮古民謡の「とーがにアヤグ」など、4名で計8曲を熱唱。宜寿次は「24歳の自分が『時代の流れ』なんて歌っていいのかなと思ったけど、僕のような若者が歌うことで、さらに若い世代に繋げていければと思います」と噛みしめるように話しました。
第一部の最後にはペルー出身の長嶺ルーシーが登場。「てぃさんぐぬ花(スペイン語Ver.)」など3曲を歌い上げます。ピアノの音色にのせた優しく語りかけるような美しい声に、会場はうっとり聞き惚れました。
沖縄民謡の魅力を語る
10分の休憩を挟み、第2部は「歌い継ぐ 沖縄の音楽 記憶と記録」プロデューサー2名の対談からスタート。プロデューサーとして幅広く活躍する立川直樹は、今回生まれたCD BOXについて「普通はこういう全集だと時代やジャンル毎に分けて段階的に作るんだけど、このCDは時代もジャンルも関係なく作ってて、それが今回上手くいった一番の要因」と話します。それを受けて小浜司は「沖縄の歌ってジャンル分けされているようでそうじゃないですよね。根っこに三線の音色があって、そこからロックでありジャズでありと、まさにチャンプルー」と表現し、2人で沖縄民謡の魅力を語り合いました。
対談後、最初に登場したのは金武町出身のジャズシンガー・安富祖貴子。ジャズピアニスト・櫻井萌の生演奏に合わせ、ニューヨークのミュージシャンも驚かせたという圧巻の歌唱力で会場を魅了します。最後は,、自身もよく沖縄で歌っていたという民謡「えんどうの花」でフィニッシュ。
続いては、女性3名のユニット・ひがけい子♪シュビーズ。伝統工芸の「紅型染め」などをあしらった美しいコスチュームに身を包んでの登場です。反戦歌である「艦砲ぬ喰ぇ残さー」を歌った際には「これからも平和を願って歌い続けたい」と真摯な想いを語りました。続けて「芭蕉布」「娘ジントーヨー」を披露し、ポップな楽曲で会場を盛り上げます。
MCの小浜から「次はげんちゃん!」と紹介されて舞台に上がったのは、芝居小屋生まれの民謡歌手・前川守賢。歌に手踊り、芝居がかったユニークな動きに、観客からは笑いと今日一番の手拍子が!うちなーぐち全開の軽快なトークや、客席の子どもにも絡む姿に会場が爆笑に包まれました。
2曲を歌い終えた前川はそのまま舞台に残り、沖縄を代表する女性民謡歌手・金城恵子とデュエットを披露。漫才のようなかけ合いで会場を盛り上げつつ、金城の代表曲ともいえる「想い」など2曲を披露しました。
大盛り上がりのフィナーレ
そしてトリで登場したのは、琉球民謡ファンの間でも有名な徳原清文。金城、前川とそれぞれ息の合ったデュエット、そしてうちなーぐち漫談(?)を見せ、ファンを大いに沸かせました。最後にはオープニングでも流れた「今帰仁宮古ノ子」を歌い上げ、しっとりとライブを締めくくります。
最後は、出演者全員で沖縄の踊り、カチャーシーを。徳原の歌、前川の囃子に合わせて、客席でも手拍子や手踊り、中には立ち上がって踊り出すお客さんも。歌と三線と指笛、そして歓声が響く大盛り上がりのフィナーレとなりました。
島ぜんぶでお~きな祭 第15回沖縄国際映画祭は2023年4月15日(土)、16日(日)の2日間、開催されました。
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