10月13日(金)~10月15日(日)の3日間、よしもと祇園花月をはじめとした京都市内の各会場にて「京都国際映画祭2023」が開催されました。今年の京都国際映画祭では、当映画祭の名誉実行委員長を長年務められた中島貞夫監督の追悼上映をはじめ、映画上映や舞台挨拶、アート作品の展示やオンライン企画なども同時に展開し、映画もアートもその他も全部お楽しみいただける内容となっていました。
進化を遂げるOTAKUの最前線とは
10月15日(日)、京都精華大学 明窓館にて「OTAKU SUMMIT Satellite in 京都国際映画祭~ オタクとコンテンツの未来~」が行われ、京都国際映画祭実行委員長の中村伊知哉と漫画に詳しい芸人の吉川きっちょむをモデレーターに、初音ミクの生みの親である伊藤博之、「とらのあな」や「ファンティア」などを運営する吉田博高、国際オタクイベント協会代表の佐藤一毅、エンタメ社会学者の中山淳雄、韓国から起業家・国際社会学者・タレントのカン・ハンナ、京都精華大学マンガ学部教授で同国際マンガ研究センター長の小泉真理子が一堂に会し、アニメやマンガ、ゲームなどのオタクコンテンツの未来を考えるトークセッションを繰り広げました。
この企画は「『京都国際映画祭』のイベントを京都精華大学で何かやりたい」と熱望し、やっと実現したと中村。世界で通用する言葉となった「OTAKU」ですが、1980年代にひらながで「おたく」と表記していたものがカタカナ表記になり、やがてネットと結びつき世界へと広がり、「OTAKU」として国際化したといいます。「1980年代はマイナスなイメージがありましたが、今は『オタク』から『推し』という言葉にも変わり、より一般化してプラスのイメージになってきた」と小泉。OTAKUはさらなる進化を遂げています。
日本発コンテンツの世界的なヒットが喫緊の課題ですが、カンは韓国のコンテンツが成功した3つの理由を解説。
吉田は個人クリエイターの作品の現状を解説し、パロディが多かった同人誌も今ではオリジナルが5割を超えていると紹介しました。
ヒットのカギはボーダーレスなコラボレーション
これからオタク文化が浸透していく地域としてアフリカを紹介した佐藤。その発言を受け、「京都精華大学でもアフリカのマンガに注目している」と小泉が続けます。京都国際マンガミュージアムで10月26日(木)から「アフリカマンガ展」が開催予定です。
国をあげての国際競争力の強化などさらなる課題が浮かびあがる中、「初音ミクやボカロはコラボという掛け算をしていったことで今の人気があります。ボカロ以外の産業界とも掛け算のコラボレーションを増やしていければ」と提案する伊藤。
中山は「コンテンツの強化でいうと、産官学の中では官学の遅れが目立ちます。僕自身、どうやってその間をつないで、引っ張っていくかが課題です」と明かしました。 活発なトークセッションを展開した90分。
「しゃべり足りない」という中村に、「来年度以降もぜひ継続してくださるとありがたいです」と小泉。充実の時間だっただけに、第二回の開催にも期待が高まります。
「京都国際映画祭」は2014年より「京都映画祭」から引き継いだ伝統と志を重んじ、「映画もアートもその他もぜんぶ」をテーマに「新しいモノ・コト」にも積極的に取り組んできました。第7回からは柔軟に形を変えてオンラインとリアルの良さを併せもつ、ハイブリッドの映画祭として開催しています。
『京都国際映画祭2023~映画もアートもその他もぜんぶ~』
開催期間:10月13日(金)~15日(日)
場所:よしもと祇園花月、京都市京セラ美術館、京都国際マンガミュージアム、おもちゃ映画ミュージアム、ほか
『京都国際映画祭2023~映画もアートもその他もぜんぶ~』HPはコチラ