10月13日(金)~10月15日(日)の3日間、よしもと祇園花月をはじめとした京都市内の各会場にて「京都国際映画祭2023」が開催されました。今年の京都国際映画祭では、当映画祭の名誉実行委員長を長年務められた中島貞夫監督の追悼上映をはじめ、映画上映や舞台挨拶、アート作品の展示やオンライン企画なども同時に展開し、映画もアートもその他も全部お楽しみいただける内容となっていました。
京セラ美術館では、10月13日(金)〜15日(日)、澤田知子氏のインスタレーション展示と「第10回クリエイターズ・ファクトリー」を開催。「『現象 その先へ』激動の時代から生まれる、次の第一歩。」をテーマにさまざまな作品が並び、ワークショップやダンスパフォーマンスとのコラボレーションでも来場者を楽しませました。
波紋のように広がる顔、顔、顔…
ガラス張りの天井から陽光がふりそそぐ「光の広間」では、「京都国際映画祭2021」の「クリエイターズ・ファクトリー」で、アート部門・子ども部門の審査員を務めた澤田氏のインスタレーション『Ripples』が披露されました。今回の作品は、ニューヨーク在住時の経験や出会いから「人は何を、どこを見て個人を判断しているのか知りたい」と思い、自らさまざまな“アジア人”に変装して作り上げた「FACIAL SIGNITURE」シリーズを、加工・再構成したものとなっています。
地面に波紋のように広がる、女性の顔、顔、顔……。メイクやヘアスタイルですべて別人に見えますが、やはり同じにも見える不思議なポートレイトの数々に、来場者は驚き、とまどいながら飲み込まれていきます。2階バルコニーから見下ろす眺めも圧巻で、角度、目の高さ、さらには時間帯によっても見え方がガラリと変わる、スリリングな作品空間が出現しました。
15日(日)には、ダンサーのyu-miによるパフォーマンスも行われました。広間に登場するやいなや、色とりどりの布を使ったあでやかなダンスで、会場の空気を一変させたyu-mi。地面に並ぶ“顔”に見つめられながら、流れるような動きで視線をクギヅケにした前半から、後半は打って変わって黒一色の衣装と激しい動きで圧倒。インスタレーションと共鳴し続けるそのダンスに、自然と大きな拍手が湧き起こりました。
新聞紙で思い思いの“ウロコ”を
「多目的室」では、「第10回クリエイターズ・ファクトリー」として、『作品展示とアートワークショップ─身近なものからのアート体験─』を開催。これまで「クリエイターズ・ファクトリー」に参加したアーティストの中から、美和いちこ氏と高田雄平氏が、自身の作品展示とワークショップを行いました。
美和氏は、樹脂や銀箔などさまざまなマテリアルを使った平面・立体作品を展示。ダンボールで作られたカラフルなロボットや動物、絵画もあちこちに配置し、こちらはフォトスポットとしても人気に。エコロジカルアーティストとして活動する高田氏の展示には、平面、立体とも主に新聞紙を使った独創的な作品が並びました。
14日(土)の美和氏による「ダンボールでお面をつくろう!」に続き、15日(日)は高田氏が「新聞紙で巨大昇龍をつくろう!」と題したワークショップを実施。オイルパステルやカラーマーカーを使い、六角形にカットされた新聞紙に絵を描いて、高田氏が同じく新聞紙で制作した巨大な昇り龍に“ウロコ”として取り付けていきます。 思い思いの絵柄でウロコを描き、高田氏と一緒にホッチキスでとめていく参加者たち。アドバイスを受けながら完成したウロコには、カラフルかつリアルなものもあれば、かわいいネコの絵や謎めいた幾何学模様もあり、センスが爆発した楽しい巨龍が完成しました。ワークショップ終了後は、全員で龍を中庭まで運び記念撮影! 大人も子どもも笑顔が弾けるひとときとなりました。
「京都国際映画祭」は2014年より「京都映画祭」から引き継いだ伝統と志を重んじ、「映画もアートもその他もぜんぶ」をテーマに「新しいモノ・コト」にも積極的に取り組んできました。第7回からは柔軟に形を変えてオンラインとリアルの良さを併せもつ、ハイブリッドの映画祭として開催しています。
『京都国際映画祭2023~映画もアートもその他もぜんぶ~』
開催期間:10月13日(金)~15日(日)
場所:よしもと祇園花月、京都市京セラ美術館、京都国際マンガミュージアム、おもちゃ映画ミュージアム、ほか
『京都国際映画祭2023~映画もアートもその他もぜんぶ~』HPはコチラ