吉本興業の創業110周年を記念した特別公演『伝説の一日』が4月2日(土)と3日(日)、大阪・なんばグランド花月で開催されます。よしもとの人気芸人が総出で笑いを届ける、まさに“伝説の”イベント。そのステージに登場するスーパーマラドーナ(田中一彦、武智)は、10年前の「創業100周年」ではライブビューイング会場の“盛り上げ隊“として参加しました。待望の“本出番”となった彼らに、その心境を聞きました!
2日間にわたって全8公演が上演される『伝説の一日』は、人気芸人たちのネタ披露に吉本新喜劇の公演、さらに明石家さんまによるコメディ『さんまの駐在さん』が復活するなど、とにかく豪華なラインナップ。スーパーマラドーナは、ダウンタウンも登場する注目の千穐楽参回目のステージに出演します。
2015年から4年連続M-1グランプリのファイナリストで、関西の賞レースでも結果を残してきた2人。この10年、紆余曲折がありながらも、新たな手ごたえを感じるところまできたと言います。
「ありがたいけど、絶対にスベられへん!」
——『伝説の一日』への出演が決まった率直な感想を聞かせてください。
田中 10年前といえば、上方漫才コンテストと新世代漫才アワードで優勝して、劇場メンバーに入れたくらいの時期だけど、盛り上げ隊をしていたことは記憶がぜんぜんなくて……。きっと『伝説の一日』のスゴさもよくわかってなかったんでしょうね。今回、スーパーマラドーナという名前が挙がっただけでも、まだ吉本が僕らを芸人として見てくれているんだなぁと思いましたね。
武智 選んでもらったのは、ありがたいです。でも、ありがたいという思いがありながらも、お客さんも期待しているでしょうから、絶対にスベられへん。
しかも、僕らが出演させていただく回にはダウンタウン(松本人志、浜田雅功)さんも出られるので、それが楽しみですね。昔から見てきたダウンタウンさんと一緒の香盤(進行スケジュール表)というのが、なによりの幸せ。もし密にならないのなら、ダウンタウンさんの出番は、ぜひ僕らも舞台袖から見学させていただきたいです。
田中 僕は自分の出番が終わったらすぐ帰ります。ダウンタウンさんはテレビで見ます。
武智 ええ、マジか!? コイツ、前に(当時の)安倍(晋三)首相が劇場に来られたときも、芸人みんながその姿を見に行こうとしているのに、ひとりでさっさと帰ったんですよ。
厳しさに耐えられずに失踪!?
——前回の『伝説の一日』からこれまで、どんな10年でしたか?
武智 M-1グランプリで4年連続決勝に出させてもらったのがいちばんデカいですね。炎上やらいろいろあった10年ですが、いっぱしに漫才でゴハン食べられるようになった10年でもある。
——コンビ仲はずっとよかったんでしょうか?
武智 2014~15年あたりは苦しかったですね。1回増えた仕事が減りだして、食べられないくらいにまでなってしまって。僕、ネタ合わせのときに厳しいことを言うほうなので、相方にも強くあたりすぎてしまって。その結果、相方が15日間失踪するという……。
田中 2007年にも1回失踪しているので、それは2回目の失踪ですね。どこか暖かい所に逃げようとして、途中で捕まえられたって感じですね。
ネタ合わせが厳しくてツラかったのもあるし、芸人の辞め方もわからなくて。辞めますって言って辞められるものじゃないと思っていたので、とりあえず逃げた。捕まったときの詳細は覚えていないですけど、僕、借金取りの漫画を読んでいたので、その漫画にめちゃめちゃ感情移入していました。
武智 『闇金ウシジマくん』な。
田中 「借金取りが捕まえに来て人生終わった~! 怖い!!」「あ、でもちゃうわ、借金はしてないわ」って。でもまぁ、捕まってホッとしたところもありましたけどね。
武智 行方を探している間は、厳しく接してしまったという反省も、死んでいるかもしれへんという怖さもありましたね。見つかったときは僕もホッとして、もう1回やり直そうと。
でも、2015年のM-1が始まったので、すぐネタ合わせは厳しくなりましたけど(笑)。ラストイヤーの2018年以降は、コンビでぎくしゃくすることもなく、ネタ合わせも穏やかになりましたね。
田中 それまでコンビの力関係が100対0だったのが、(武智のM-1に関する)炎上騒動のおかげで50対50になったので、ネタ合わせもやりやすくはなりました。
「M-1より楽しいことなんてない」
——武智さんはM-1への思い入れがかなり強いですよね。
武智 M-1は楽しいですね。挑戦が終わって外から見ていてもヒリヒリするし、やっぱりM-1より楽しいことなんてないという感じがしますね。出ていたときはしんどかったですけど、出ないと寂しい。いまはもう、甲子園に出たことあるおっちゃんが、甲子園で応援だけしとけばいいのに、グランドまで入っていってアドバイスしている感覚ですね。
田中 たまにいますもんね、そういう「もうええねん」っていう人。
武智 M-1では、審査員さんたちを笑わせるキレッキレのネタを追い求めていましたけど、審査員さんと劇場にお笑いを見に来るお客さんは違う。日々、劇場に足を運んでくれるお客さんにもっとウケたいなと思い、優しいネタに切り替えるようになってきました。
——たしかに、ネタが変わったと感じた時期がありました。田中さんも、M-1への挑戦を経て何か変わりましたか?
田中 そうですね……僕はまぁ、相方が考えたネタを一生懸命やるだけなので、キレッキレのネタなのか優しいネタなのかよくわかっていないですね。
武智 相方は、脳も思考回路も止まっているんです(怒)。
互いに語った相方の意外すぎる魅力とは!?
——この10年、歳を重ねることでお互い性格が変わったりもしましたか?
田中 ふつう大人になると性格が丸くなるというけど、まったくないからねぇ。でも、最近は考えてから発言するようになったと思います。Twitterでイヤな絡まれ方をしても、ブロックという技を使えるようになりましたから。
武智 相方は基本的に変わっていない。ダメ人間だし、思考回路ゼロというところはあまり変わっていないですけど、やっぱり家族を持ったのがデカいかなと。結婚して子どもができたので、それをなんとか守りたい、稼いで帰らないといけないという姿勢が見えますね。
田中 そうですね。だからもう失踪することもなくなりました。今度もしそんな状態に陥ったら、ちゃんと自分の口から辞めたいって言います!
——性格もまったく違うおふたりが、紆余曲折ありながらもコンビを続けてこられたのはどうしてなんでしょう?
田中 衝突をしないのが、悪くもあり、良くもあり、なんとちゃいます? 意見を言い合ったらケンカになって仲も悪くなるかもしれないですけど、僕は「○○せぇ!」って言われたら「はいぃぃ!」って、一方通行なので。
武智 じっくりネタの話をしたい気もするけれど……相方はたぶん、ネタの中身がどんなもんかもわかっていないと思うんです。
田中 ネタの中身は、やりながらわかってきますよ! 舞台でお客さんの反応を見て「あ、そういうことか」。ツッコミを聞いて「あ、そういうボケやったんか」って、だんだんわかってきて、なるほどな~ってなります。
武智 そんなヤツに相談しても無理じゃないですか?(笑) だからネタの相談は、仲がいいギャロップの林(健)にしています。林とは、ネタも一緒に書いたりして。
でも、相方の好きなところは、“失礼”なとこ。人にすぐ失礼なことを言ったりしちゃうんですけど、そういうのはお笑いでは武器になるので。急に師匠にタメ口で喋るし、ぼんちおさむ師匠に初めて食事に連れていっていただいたときに、「ごちそうさまです」と言わずに帰ったり。
田中 そのときは、そういう“ルール”を知らなかったのでね。
武智 (ザ・ぼんち)里見まさと師匠が私服で楽屋うろうろしていたら、警備員さんに「知らない人が勝手に入って来ています」って言ったことも……。
田中 私服だと師匠ってわかんないですよね~。
武智 わかるわ! そういう失礼なことを平気でズバズバやっちゃうところが、人と違うかなと。芸人は人と違ってなんぼやと思うので、ダメなところが魅力です。
田中 バックにケンカの強い武智さんがいるから、後輩にもあんまりナメられない。
武智 一緒だとナメられないって、そこが僕の好きなところ!?
田中 僕が僕みたいな後輩を見つけたら、すぐ「ジュース買ってこいや」って言いますけどねぇ。でも、相方が怖かったら言わないですからねぇ。
武智 あと、M-1の決勝に4回行っているという実績があるからちゃう? 実績もない、僕もいなかったら、めちゃナメられてると思う。
田中 M-1は連れてってもらったのでねぇ、そこはありがたいですよね。ほかのコンビにネタのアドバイスしているのを聞く機会も多いんですが、聞いていると「お笑いのネタってこういうことなんやなぁ」と、なんとなくお笑いの教科書の3ページ目まではわかってきましたね。
武智 遅いやろ! まだ3ページ? 芸歴20年越えて?
田中 うん。芸歴20年を超えて、3ページ。
「漫才でしか返せないし、漫才でしかできない」
——これからの10年、芸人としての夢や目標はありますか?
武智 10年後も漫才を続けられていたらいいなぁという思いが大きいですね。でも、毎年M-1やキングオブコントのチャンピオンは生まれてくるし、活躍できる芸人の席も決まっている。
そんななかで10年後もとなると、いまの自分らでは想像がつかない。だから、もう一度、スーパーマラドーナとして世に出ないといけないなと考えています。あと、自分で仕事を作っていきたい。僕らの漫才って、子どもにウケるものがすごく多いんですよ。意外って言われるけれど。
田中 “子どもにウケる漫才”ってとこ、太字で書いておいてください!
武智 べつに子どもに向けた漫才をしているわけじゃないけど、たぶんわかりやすいんですかね。だから、子ども向けの寄席や、シングルで子育てをしているなど、ふだんなかなか劇場に足を運びにくい人たちに参加していただく寄席なんかもできたらいいなと思っています。こんな僕でも。
僕らは漫才でしか返せないし、社会貢献も漫才でしかできないんで。M-1のときのような、キレッキレの漫才の感覚も忘れないようにしつつ、子どもやいろんな世代にウケる漫才もやっていけたらいいなと。もりやすバンバンビガロや、くまだまさしさんみたいなパフォーマンスがウケるピン芸人はいるけれど、マイク1本で子どもに強いという芸人はまだいないと思うので。
田中 子どもって、僕がネタ中に叩かれたりすると「ガンバレ! ガンバレ!」応援してくれたりするんですよね。かわいそうにと思ってくれるんですよね。純粋やなって思います。
武智 威圧感がないから、子どもが接近しやすいんでしょうね。
田中 でも、ロケで子どもと絡むと、僕が変なことばっかり言うせいか、めっちゃ怖がるんですよね。
武智 子どもって、異常を感知するのも早いですから(笑)。
田中 今後の目標か~。これから高齢化が進むということで、師匠方の介護に力を入れようかな。そろそろ歩くことが大変になられる方もいるから、荷物持ちをするので、その代わり僕にちょっと遺産をいただければうれしいですね。
武智 いや、漫才やれよ!
なんばグランド花月で開催される『伝説の一日』の本公演(座席チケットはすでに完売)は、オンライン配信とライブビューイングでも観覧可能。また、スマホでも見られる無料放送の『BSよしもと』では、 4月2日(土)と3日(日)の2日間にわたって、当日の楽屋や舞台裏などを含む、「伝説の一日」生放送特別番組が放送されます。
FANYチケット(ライブビューイング)はこちらから。
FANYオンラインチケットチケット(配信)はこちらから。
公式サイトはこちらから。
公演概要
【伝説の一日】初日
日程:4月2日(土)
場所:なんばグランド花月
時間:
壱回目 8:00開場 8:30開演
弐回目 11:20開場 11:50開演
参回目 14:40開場 15:10開演
四回目 18:00開場 18:30開演
出演:
<壱回目>
桂文枝、桂小文枝、西川のりお・上方よしお、なだぎ武、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、佐久間一行、パンクブーブー、ロバート、プラス・マイナス、和牛、ガクテンソク、パンサー、見取り図、オズワルド、空気階段、コウテイ 他
吉本新喜劇:間寛平、小籔千豊、川畑泰史、すっちー、酒井藍 他
<弐回目>
オール阪神・巨人、月亭文都、ティーアップ、次長課長、シャンプーハット、林家菊丸、くまだまさし、トータルテンボス、ハイキングウォーキング、おいでやす小田、銀シャリ、トット、シソンヌ、チョコレートプラネット、ロングコートダディ、ニューヨーク、霜降り明星 他
吉本新喜劇:間寛平、小籔千豊、川畑泰史、すっちー、酒井藍 他
<参回目>
西川きよし、笑福亭仁智、平和ラッパ・梅乃ハッパ、矢野・兵動、陣内智則、中川家、ザ・プラン9、笑い飯、南海キャンディーズ、NON STYLE、もう中学生、藤崎マーケット、ミルクボーイ、アインシュタイン、インディアンス、蛙亭、ぼる塾 他
吉本新喜劇:間寛平、小籔千豊、川畑泰史、すっちー、酒井藍 他
<四回目>
明石家さんま、今田耕司、ナインティナイン岡村隆史、間寛平、村上ショージ、ジミー大西 他
【伝説の一日】千穐楽
日程:4月3日(日)
場所:なんばグランド花月
時間:
壱回目 8:00開場 8:30開演
弐回目 11:20開場 11:50開演
参回目 14:40開場 15:10開演
四回目 18:00開場 18:30開演
出演:
<壱回目>
桂文珍、ザ・ぼんち、桂小枝、村上ショージ、トミーズ、ハイヒール、野性爆弾、フットボールアワー、とろサーモン、ジャルジャル、もりやすバンバンビガロ、アキナ、かまいたち、トレンディエンジェル、吉田たち、ニッポンの社長、EXIT 他
吉本新喜劇:間寛平、小籔千豊、川畑泰史、すっちー、酒井藍 他
<弐回目>
大木こだまひびき、博多華丸・大吉、桂三度、メッセンジャー、タカアンドトシ、ロザン、レイザーラモン、千鳥、ギャロップ、スマイル、ライス、マヂカルラブリー、ZAZY、男性ブランコ、ミキ、もも、オダウエダ 他
吉本新喜劇:間寛平、小籔千豊、川畑泰史、すっちー、酒井藍 他
<参回目>
中田カウス 漫才のDENDO、まるむし商店、木村祐一、月亭方正、海原やすよ ともこ、COWCOW、テンダラー、2丁拳銃、ライセンス、あべこうじ、スーパーマラドーナ、すゑひろがりず、ジャングルポケット、横澤夏子、コロコロチキチキペッパーズ、ビスケットブラザーズ、ゆにばーす 他
ダウンタウン
<四回目>
明石家さんま、今田耕司、ナインティナイン岡村隆史、間寛平、村上ショージ、ジミー大西 他