照屋年之監督自身が作品を振り返り、最新作を語る! 『照屋年之監督 新作発表イベント』に浅野忠信、堀内敬子、松田るかが登場!

4月20日(土)・4月21日(日)の2日間、「島ぜんぶでお~きな祭 第16回沖縄国際映画祭」が開催されました。今年の映画祭では、国内外を含む25プログラム(31作品)の映画上映、舞台挨拶や制作発表イベントなどが実施。その他、お笑いライブや沖縄の未来を考えるソーシャルビジネスコンテスト、そして映画祭を締めくくる音楽ライブ「Laugh&Peace LIVE」も開催されました。

21日(日)、那覇市なはーと大スタジオでは『照屋年之監督 新作発表イベント』が行われ、照屋年之(ガレッジセール・ゴリ)監督のこれまでの作品を振り返るとともに、今年の新作である『かなさんどー』について、監督自らが語りました。

映画は我が子のようにかわいい

出典: FANY マガジン
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MCを務めるのは相方でもあるガレッジセール・川田。ステージに登場したゴリは「照屋年之と呼ばれるのは恥ずかしい」と話した後、幼稚園のあだ名「としぼう」で自己紹介して笑わせます。川田からはこのイベントが2部制であり、まず第1部は『沖縄映画祭と照屋監督の軌跡』と題して、これまで沖縄映画祭で上映された監督作品を、監督とともに話していくことを伝えます。

映画を撮ろうとしたきっかけは、会社からの提案だったそう。そこで最初の作品である2006年の『刑事ボギー』を撮影したところ「完成したとき、我が子のようなかわいさ」だったとゴリ。それが評価されて2、3本目となったと振り返りますが、「映画はしんどい、費用対効果が悪い」と本音も吐露。しかし「イヤだと思うけど、完成して、お客さんが泣いたり笑ったりしてるのをみるとまた撮りたいとなる」と映画愛を語ると、短編映画でずっと撮り続けているのは自分くらいではないか、撮る喜びが嬉しすぎて、知られてないのにやめなかった、と話しました。

これまでの監督作品のレアエピソードも!

出典: FANY マガジン
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ここからはこれまでの作品を振り返ります。まず2009年第1回沖縄国際映画祭で上映された『南の島のフリムン』から。この作品について「短編映画2本のあと、よしもとから長編のチャンス、やってみろ、と撮らせてもらったドコメディ」とゴリ。自身が演じるダメ男の敵役、絶対こいつには勝てないという憎たらしい役には、まずボビー・オロゴンが浮かんだそう。英語ができないのでは、と思ったものの、本人が大丈夫というのでキャスティングしたところ、ボビーの英語がエキストラのアメリカ人に通じなかったと笑わせます。主役のAKINAについては「かなり緊張されてたけど、一生懸命やってくれた、いい味を出してくれた」と話しますが、キャストの1人、照屋政雄については「女性が大好き」、「飲むシーンでは政雄さんのに本当の泡盛が入っていた」など、おもしろ裏話を披露。平良とみさん逸話も飛び出しました。

続いては、『税金サイボーグ・イトマン』(2013年 第5回沖縄国際映画)、『ろくな人生』(2014年 第6回沖縄国際映画祭)、『やんばるキョ!キョ!キョ!』(2015年 第7回沖縄国際映画祭)、『born、 born、墓音。』(2016年 第8回沖縄国際映画祭)、『選ばれた男』(2017年 第9回沖縄国際映画祭)、『NAGISA』(2019年 第 11 回沖縄国際映画祭上映作品)という短編6作品のなかから、『NAGISA』についてトーク。恩納村での撮影時、主演の江口のりこが泣くシーンで、泣いていることに気が付かず、ずっとカメラを止めなかったというエピソードのほか、撮影時にスタッフ全員が勘違いした笑い話なども聞かせ、会場を盛り上げます。

主演俳優の裏話なども次々と披露

出典: FANY マガジン
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2019年に上映された『洗骨』は、2作目となる長編。ゴリは沖縄県全体に昔は洗骨という習慣があったと話し、棺桶に入れたまま何年も寝かせたあと、もう一度開けて、骨をひとつずつ洗い、骨壷に入れ、もう一度さよならする、と洗骨について説明。そこからインスピレーションを得て脚本を書いたことを明かしますが、主演を務めた奥田瑛二のエピソードでしっかりと笑わせます。さらに「洗骨」での映画祭の雨にまつわる爆笑エピソードも明かされました。

2021年の『演じる女』は第13回沖縄国際映画祭で上映。ゴリは主演の満島ひかりについて、奥田瑛二からの口添えで実現したことを明かします。そして、この作品から長編を作りたいと思って作ったのが最新作「かなさんどー」です。「本がおもしろいから出ます、と浅野忠信が言ってくれた」とゴリ。最初の顔合わせで緊張していたところ、想像以上の低姿勢だったそうで、ゴリがモノマネする姿に会場からは笑いが起こりました。

最新長編の主要キャストたちがステージに

出典: FANY マガジン
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ここからは第2部として、『かなさんどー』の制作発表が行われます。川田からは昨年4月の映画祭終了後から撮影、編集を行い、昨年完成したこと、主演は沖縄出身の女優で松田るか、ほかに浅野忠信、堀内敬子といったキャストを迎えた、監督6年ぶりの長編であること、さらに本日が初めての発表となる『トロント日本映画祭』への出品決定が伝えられると、ゴリはトロント日本映画祭で前作「洗骨」は最優秀賞を受賞したと話します。

続いてゲストが登壇。松田、堀内、浅野、Kジャージ、主題歌を担当した民謡歌手の前川守賢、制作総指揮の福田淳がステージへ。川田が「一気に華やかになりましたね」と話すと、ゴリは「俺のときと態度が違いすぎる!」とブーイングです。キャストの挨拶のあと、まずは作品のフッテージ映像を上映。ゴリは「洗骨からずっと撮りたかった、でもコロナでずっと撮れなくて苦しい時期に、福田さんから”洗骨に感銘を受けた、予算を出すから撮ってくれませんか”と連絡が来た」と明かします。福田は「洗骨に感動しまくって、お会いしたい、映画撮りましょうといったら暗い感じだった」と当時を振り返りますが、昨日ゴリから「(あのときは)信頼できないと思った」と明かされた、と話して盛り上げます。

キャストも思わず泣いてしまう感動作に

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作品を見た感想として、浅野は「るかちゃん演じる娘に本当に助けられてるんだな」と感じたそう。作品については「とっても感動しました」とコメント。堀内は「客観的に見られるかなと思ってたら、熱い涙が流れてしまいました」と明かします。松田も自分のシーンでこんなに涙がたまると思ってなかったと話すと、1時間半つなげてみると全然違う、と作品の印象を語りました。撮影中ずっとフワフワしていたと話したのはKジャージ。「このメンバーで監督がゴリさん、(自分は)何やってんのかなとずっと思ってた、出来上がったのを見て、出てるんだ!って(思った)」と笑わせると、「本当に皆さんありがとうございます」と感謝、会場からは拍手が起こります。

前川は主題歌について「21歳のときにレコーディングしてかれこれ40年歌ってきている」と話し、監督にカラオケではなく生の三線でとお願いしたことを明かします。そして「貴重な体験をさせていただいた、かなさんどーって本来こういう歌だったんだな、涙も出るんだなと40年たってわかった」と振り返りました。

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福田は「作品を見たあと、堀内さんを見ると涙が出るっていうくらい感動した」と話します。そしてシナリオについても言及。「最初のものから何度も書き直して、まったく違ったものになっている、3、4本分の内容が入った映画」と明かすと、ほかにもキャストや撮影の裏話を次々と明かし、会場を盛り上げます。

和気あいあいとしたキャスト同士のトーク

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松田を主演にした理由については、元々演技がうまい方というのはわかっていたことに加え、沖縄が舞台なので沖縄の方で、というところから松田が浮かんで、実際に演じてもらったらやはり演技がすごかったと絶賛。松田は「プレッシャーがあったのは事実、大丈夫かなと思いながら入った」と振り返りながら、「時間をかけていいよ、と言ってくれた、寄り添って撮ってくれた、のびのびとやらせていただけた」と笑顔を見せます。

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監督の魅力については「出る側の人でもあるから、我々の細かな心情も理解して現場でも気を遣ってくれる」と浅野。さらに役になるための必要なだけの時間、エネルギーをサポートしてくれる、とも。しかしゴリからは、病弱な役なのに、海で日焼けしようとしていたことを暴露されます。堀内は「撮るものが明確にあるので、無駄なことを一切しない、説明も明確、みんなで一丸となって、スタッフも理解していて、すごく心地よく撮影させていただきました」と振り返りました。

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印象に残っているエピソードとして松田が挙げたのは浅野について。役で着ている病院着のまま、近くのスーパーにTシャツを買いに行っていたことを明かすと、堀内も「私も行きました」と告白。そのスーパーが地元沖縄のスーパーだったことで、会場は大いに盛り上がります。Kジャージは浅野と一番話したそうで「勝手にノブっていってます」と得意げな表情。そして「るかちゃんには役でずっと怒られてたからそのイメージ、堀内さんはかわいらしい」と笑顔で語りました。堀内は福田が娘と現場に来たときに飛び出した、勘違いの不倫疑惑エピソードを明かし、会場を笑わせました。

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ここで前川が主題歌の『かなさんどー』を披露。三線の音と前川の声に、出演者、観客とも、じっくりと聴き入りました。

最後に松田は「とにかく伝えたいことがたくさん出てくる映画、身近な人に愛しているよと伝えたくなる映画なので、観終わったあとはそうやって伝えてほしい」と話すと「感想もSNSで見られたら」とアピール。堀内は「みんなで一生懸命作った、愛溢れる作品です、公開まで少しありますが、劇場に足を運んでくれれば」とコメント。浅野は
「歌を聞いてるだけで泣きそうになる、それくらい曲と“かなさんどー”って言葉が染み込んでる」と話し「見た人にもそれが伝わると思うので、楽しみにしてください」と話しました。

キャストの決め手、初共演についてもたっぷりと

イベント後には質疑応答も実施。浅野と堀内をキャスティングした理由について「堀内さんの役どころは、必ず歌が上手いというのが条件だった」とゴリ。その条件のなかでかわいらしい演技ができる人ということで「パッと堀内さんが浮かんだ」。それに対して浅野が演じた役についてはキャスト決めが難航していたそう。プロデューサーから浅野はどうかと言われたとき、情けなくてスケベなおっさんの役なのでかっこよすぎると思ったとのこと。しかし、浅野が出演していた朝ドラを思い出してオファーをしたところ、本がおもしろいから出ると言ってくれた、と振り返りました。

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初共演の浅野、堀内、松田には、それぞれの印象についての質問が。松田は堀内について、包み込んでくれると話すと、初めて会ったときからお母さんのような感じ、しかもチャーミングでかわいいとコメント。浅野についてもチャーミングと話しつつ、「役のせいか情けない印象を持っちゃってて」と告白。日焼けしてはダメなのに海に行く、衣装でスーパーにも行くとその理由を挙げつつ「でも憎めない、2人共チャーミングな方」と話しました。

堀内は「るかちゃんは沖縄の方なので、地に根っこが生えてるような、沖縄を感じさせてくれるような頼もしい感じ」と話すと「お芝居もこうやりたいというのを敏感にとらえて反応してくれたので集中できた、心強くて頼もしい娘でした」と絶賛。浅野に関しては、自分的には恥ずかしいウエディングドレスで抱っこのシーンで、浅野が“幸せだな〜”って言ったことを明かし、「そこから大好き!と思って、気持ちが盛り上がって」と笑顔で答えました。

浅野は「本当に幸せでした」と話すと、「本当にこの2人が奥さん、娘さんだったら、ダメになるだろうと思った」と笑顔。「本当は役になりきらないといけないところも2人が支えてくれたので、自然と出る部分もいっぱいあった」と振り返りますが「ただスケベさがないんで、そこだけ役作り、がんばって」と話して笑わせました。

作品に込めた思いについて「愛の形っていろいろある、最終的に迎える愛の形、人を想い続けることの1つのパターンがこういうことなのかと思った」とゴリ。そして人には許せないことがあると思う、それを一生許さないのか、どこかで許したいけど機会がなかったのか、その許しはどこで解消できるのか、というのを1つのパターンとして表現してみたと語りました。

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ゴリの作品の魅力についての質問では、松田が実体験に基づいているものだからでは、と話すと、ゴリも「ウチの両親に近いかも」と同意。堀内はゴリが芸人だけに笑いの面でも的確な指示があったことを明かすと、そのせいかグッとくるような話なのにそこまで重くならず、でも笑いながら急に涙がどっと出てしまう、マジックのような手法を持ってると絶賛。さらに言葉で表現できない、説明できないけど泣いてしまう、これを見にきて体験してほしい、と力説します。浅野は監督の持ってるあたたかさ、まっすぐさが作品に注ぎ込まれていると思うと話しました。

作品概要

『かなさんどー』

出典: FANY マガジン
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監督/脚本:照屋年之
出演:松田るか 堀内敬子 浅野忠信
上田真弓 Kジャージ 松田しょう 新本奨 比嘉憲吾 真栄平仁 喜舎場泉
金城博之 岩田勇人 さきはまっくす しおやんダイバー カシスオレンジ仲本 A16
製作総指揮:福田 淳
製作:「かなさんどー」製作委員会 (スピーディ、吉本興業)
製作幹事:スピーディ
制作プロダクション:キリシマ1945、鳥越事務所
配給:パルコ
©「かなさんどー」製作委員会
2025 年新春沖縄先⾏、全国順次公開予定

『島ぜんぶでおーきな祭 第16回沖縄国際映画祭』
(英語表記 16th OKINAWA INTERNATIONAL MOVIE FESTIVAL)
開催期間:2024年 4月20日(土)~21日(日)
開催場所:
那覇市 国際通り/那覇文化芸術劇場なはーと/パレットくもじ前交通広場
北中城村 イオンモール沖縄ライカム 
沖縄市 シアタードーナツ ほか
主催:沖縄国際映画祭実行委員会
運営:株式会社よしもとラフ&ピース
実施コンテンツ:レッドカーペット、映画作品上映、ステージイベント(お笑い、音楽、 ダンス等)、ソーシャルビジネスコンテスト ほか