“王者対談”ライス×空気階段が語る「準決勝」が熱いワケ「去年、配信チケットを買ったら…」【キングオブコント準決勝直前SP企画】

2023-09-19 ニュースインタビュー

“日本一のコント師”を決める大会『キングオブコント2023』の準決勝が9月20日（水）、21日（木）の2日にわたって開催されます。実は、お笑いファンがもっとも胸を熱くするのが準決勝――というのは、ご存じでしょうか！？　特別企画の後編は、2016年王者のライス（関町知弘、田所仁）と2021年王者の空気階段（鈴木もぐら、水川かたまり）に、決勝よりも見どころ満載かもしれない準決勝についてたっぷりと語ってもらいました。【後編】

【前編】“王者対談”ライス×空気階段が語る秘話…幕張イオンの劇場でウケると優勝できる!?【キングオブコント準決勝直前SP企画】はコチラ

今年も決勝10組の座をかけて、35組のセミファイナリストが、命を削ってつくりあげたコントを披露します！　決勝への切符を手にするのは、どのコント師なのか？　準決勝の模様は9月22日（金）以降、オンラインでも配信されます（有料）。

KOCの出囃子がプレッシャーに？

――出場していた当時、特に準決勝にはどんな思いで臨んでいましたか？

もぐら　予選って優勝するまで終わりが見えないじゃないですか。何千組のなかで（優勝した）1組しか抜けられないし、それに自分がなる確率で考えると、なかなか低い。どうせ続いていくものだけど、「いつごろまで付き合っていくかは考えないとな」とは思っていました。1歩外から見たら「エンタメの青春」みたいな感じですけど、なかに1歩入ると、もうやりきれないですよ。おじさんの先輩たちが楽屋でツラそうにしているし（笑）。

かたまり　準決勝の朝は、すごく楽しかった記憶があるんですよ。リハーサルがあるから朝6時集合とかで、めっちゃ朝早くて。芸人をやっていたらそんなに早起きして人と会うこともないんで、その非日常感にワクワクしていました。落ちる瞬間まではすごく楽しいんですけど、決勝に行けないとわかった途端に最悪の気分になるので……。

関町　予選も夏にやるじゃないですか。だから、夏がぜんぶ潰されるんですよ。当時、プールに行って蹴伸びしているときも、ウォータースライダーしてるときも、どこかでKOCが頭にあって。「本当なら100パーセント楽しめるのにな」とか、コントに支障が出るから日焼け止めをめちゃくちゃ塗ってるとき、「なんで、こんなに夏を楽しめないんだろう」とか思っていました。いま出てる人も、みんな同じように思っているはずです。

田所　やっぱり、準決勝はイヤな思い出のほうが強いですよね。

関町　あと、（公式サイトで）結果が出るとき、何回も携帯を見たよね。KOC出てる人、みんなあの時間帯だけで（利用可能なデータ通信量が）1ギガぐらい減ってると思います。「まだ結果出ない」って言ってんのに何回も見ちゃう。

かたまり　出たら出たで、（進出者リストを）手で隠して絞ってましたよね。「ライス」なんて（五十音順なので）だいぶ下のほうに出ちゃうんじゃないですか？

田所　下にスクロールしすぎて、結果見えちゃうみたいな（笑）。あと、毎年予選で使われている出囃子を聞くと、みんな「うわー」ってイヤな気持ちになるって言うよね。

関町　2021年にチョコンヌ（チョコレートプラネットとシソンヌのユニット）が予選に出たときに「あの出囃子で板（ステージ）ついたら、一気に緊張した」と言ってた。

田所　あのギターソロね。

関町　フリー音源かどうかもわからない音なんだよな～。

かたまり　あそこでしか聴いたことのない音楽ですよね（笑）。

ネタ選びを同期に任せてフェスへ！？

――やはり、準決勝はかなりの緊張感やプレッシャーを感じるものですか？

関町　僕らのときは準々決勝がなかったんですよ。2回戦勝ったらすぐに準決勝で「徐々に感」がないから、より緊張したというか。

田所　ただ、僕らが優勝した年、2回戦と準決勝で同じネタをやるって決めていて。2回戦で「〇〇してくれい～」ネタがけっこうウケていたんで、準決勝は“ウケはするだろう”と、いつもより少し心の余裕はありました。その前の年までは、2回戦と準決勝でお客さんがカブるかもしれないから、ネタを変えていたんですよ。でも、その年は「全部一緒のネタでやってみよう」と決めていたので、いちばん緊張しなかったかもしれないです。

――ネタ選びなどでは、芸人の間で真偽不明のウワサが出回るものなんですか。

田所　いろんな情報が錯綜しているんですよ。「2回戦と準決勝はネタを変えたほうがいい」という声もあれば、「いや関係ないらしいよ」みたいな声もあって。

もぐら　情報戦ですよね（笑）。

関町　「トリオ枠があるらしい」とかね。

田所　「吉本枠があって……」とか、みんな勝手なことを言うんですけど、いま思えばそんなのないし、まったく関係なかったな、とは思いますけどね。

――準決勝に向けて戦略を立てたり、ネタ選びでのこだわりなどはありましたか？

関町　優勝前までは、2人でネタを選んでいたんですけど、僕らにそのセンスがなかったみたいで……。優勝した年は、初めてまわりの意見を聞いてネタを選びました。決勝でやったネタも、まさか賞レースでやるとは思っていなかったコントで、一緒の寄席に出た同期のしずるとかバイク川崎バイクが「いや、これをやるべきだろ」って。合間にアドリブを入れちゃうようなコントだったし、2人とも賞レース用のきっちりしたネタのイメージは持っていなかったので「ほんとに？」と思って臨んだ年でした。

田所　いまだから言えますけど、それまでいろいろ対策ライブとか詰めてやっていたけど、2016年は「何もしない」と決めた年なんですよ。あの2本は新ネタでもなかったし、調整もそんなに必要なかったんで、過去一遊び倒した年でしたね。相方もフェスに行ってたし。

関町　フェス1、旅行2ね。

田所　僕も週5でパチンコ屋に行っていたんで。もうだいぶ気楽というか、ほかの人から勧められたネタだからプレッシャーもないし、最高のリラックス状態でした。

関町　ネタを叩いていい成績を残す人もいるので、本当に人によると思います。僕らは、そっちには向いてなかっただけですね。

――空気階段の2人は、準決勝に対して戦略を立てていましたか？

もぐら　（初の準決勝だった）2015年はネタが1本でよかったんで、ただ上げてもらったコントをやるだけで、何も対策はしていなかったです。準決勝でネタを2本やるようになってからは、どの順番で出すかを考えていました。初日と2日目ってだいたい出番順が変わるんですよ。初日が早かった人は2日目が遅くて、初日が遅かった人は2日目が早い。2本あるなかで、「これは出番が早い日のほうがいいのかな」と、気を使ったぐらいですかね。

かたまり　「ここまできたから」と腹をくくって、とりあえずミスがないように、とは思っていました。あと、準々決勝をあるホールでやったとき、いい舞台ではあったんですけど、笑い声が舞台まで返ってこない造りで……。どうやらウケてはいるらしいんですけど、舞台上では、準決勝にいった確信が持てなかったんですよ。たぶん客席にマイクが置いてあって、楽屋にあるモニターで見ると、ほかの人のネタがめっちゃウケてるように感じて、それが不安でした。

田所　それ、イヤだなー（笑）。

KOC王者も準決勝は見たくなる

――特にお笑いファンは準決勝に注目している人も多いですが、なぜだと思いますか？

関町　年に1回、30組以上のコント師がみんな本気になって出ているライブや番組なんてないでしょうし、（観る人が）ふだんのライブでは見られない芸人の表情とか、モチベーションを感じているからじゃないですかね。あと、『M-1グランプリ』も『THE SECOND～漫才トーナメント～』も『R-1グランプリ』も芸歴制限があるなか、唯一、この大会だけ制限がないのは、ほかの賞レースとは違う白熱する要素なのかなと思います。

もぐら　しかも、出場者も一攫千金がかかっていますからね。得るものが大きいじゃないですか。それをみんな目指してやっているので、その感じが伝わるんですかね。